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最強を決めろ!中型戦艦スレッド 二番艦

1 :超甲巡マンセー:03/05/27 15:04 ID:???
対艦巨砲主義の仇花、各国中型戦艦での最強を軍事板の皆で決めて欲しい。
ノミネートされるのは世界各国の

 排水量:3万トン以下
 兵装:16インチ砲以下 尚、魚雷は可
 選択範囲:WW2終結までに竣工した艦及び計画艦含む

 勝負方法:一対一のガチンコ勝負。昼夜一年365日いずれの場所・季節の指定は無し。

 論客、建艦馬鹿、厨房、来る物は拒まずだ。存分に語ってくれ。

2 :超甲巡マンセー:03/05/27 15:04 ID:???
 東京条約締結
 1935年1月、英米日独仏伊露西軍縮会議により以下が決定された。今後、各
国は現条約を10年間に渡り、厳守する事とする。

艦種:装甲艦
基準排水量:25000トン 満載排水量:33000トン
主砲:16インチ以下
最大速力:25ノット以上

艦種:戦艦
基準排水量:32000トン 満載排水量:35000トン以下
主砲:14インチ以下(厳守)
最大速力:20ノット以上

なお、装甲艦以下の艦艇には排水量の制限は設けない物とする。

 1927年のジュネーブ軍縮会議の失敗をうけて1930年に開かれたロンドン軍縮
会議は、英米が日本の要求 (補助艦比7割)を認めた事もあって、二度めの海軍軍備制限
条約が結ばれ、ワシントン海軍軍備制限条約の延長と、補助艦保有比率などの制限が
加えられた。
 しかし、この条約には仏、伊、露(三国とも、比率6割を主張し、結果的に決裂した。 
裏にはフランスとロシアとイタリアの裏取引が有ったとされている。)が内容に
不服として批准せず、再度、1935年に東京で海軍軍縮会議が開催された。同会議では
"ワシントン海軍軍備制限条約"の更なる延長と修正と強化が提案されていた。会議の焦点は
開催国日本と、初参加のドイツの動向であったが、会議は意外なほど順調にすすみ、1ヶ月
を待たずに批准が執り行われた。今回の批准は、英米日仏伊独露の七カ国で、保有艦比率も英:10、米:10、日:7、他の4国は5.5とされ、主砲最大口径上限14インチ、基準排水量
35000トンまでとされた。また、艦齢20年を超えるものについてはロンドン軍縮会議の
規定を破棄、条約実効後にその基準内での代艦が認められた。


3 :名無し三等兵:03/05/27 15:08 ID:???
俺は人類最強の男というコピーに引かれ
人類最強になるためにはどうすればよいのか考えた
人類最強なのだからどんなこともできる
手始めに全裸で姉の部屋にアンゲロ、アンゲロとつぶやきながら飛び込む
タンスをこじ開けブラジャーを腰に巻きパンティーを頭にかぶる
姉が呆然としながら見てくるが人類最強なので気にしない
姉のベッドに潜りこみ「幸せだから!幸せだから!」と絶叫
姉は無言で部屋から立ち去る
だがまだ最強には不十分
次は妹の部屋にムッシュムッシュと叫びながら飛び込む
妹は着がえをしている最中だったが人類最強なので無視
半裸で逆立ちをしながら
「俺に充電しろ!!俺に充電しろ!!」と絶叫
妹は大泣きで退散
確実に人類最強に近づく
開脚後転でトイレに飛び込み便座を外し首に掛ける
ゾンビの真似をしながら母の部屋に突撃
タンスを開けると一枚の写真発見
死んだ親父が俺を抱いている写真発見
俺は泣いた

4 :名無し三等兵:03/05/27 15:22 ID:???
>3
取り合えず一等自営業先生の2getは免れたわけだが

5 :名無し三等兵:03/05/27 15:39 ID:FqKpcYtA
ブリュンヒルト

6 :名無し三等兵:03/05/27 16:43 ID:???
海軍記念日 三笠

7 :名無し三等兵:03/05/27 18:05 ID:???
『マリー・アントワネット』

【データ】
所属:フランス海軍第1艦隊(旗艦)
艦種:戦艦
基準排水量:32000トン
満載排水量:35000トン以下
主砲:14インチ以下
最大速力:20ノット以上

【戦歴】
フランスエジプト戦争中期に進水式を迎える。完成と同時に同国海軍第1艦隊旗艦
として編入された。両国の命運を掛けた地中海海戦で敵旗艦『クレオパトラ』を完
膚無きまでに叩きのめした殊勲艦である。
またインド洋において日本海軍の誇る2大浮沈艦『卑弥呼』『淀君』を一蹴した事
でも有名。
その最期は大西洋の覇権を掛けてアメリカ海軍と闘った大西洋の嵐作戦。アメリカ
大西洋艦隊の最新鋭艦『F・L・ヒラリー』の放った初弾が不運にも彼女の主舵を破
壊、虚しく左旋回を続ける彼女に巨弾の雨が降り注いだ。
第3代艦長エルマー・オーガス大佐と共に沈みゆく『マリー・アントワネット』の
雄姿にアメリカ兵達も哀悼の念を惜しまなかったという。

8 :各国の事情:03/05/27 20:40 ID:???
 中部大西洋 1945年 某月某日
「撃墜!!」
 アルバコアと思われるイギリス機が、黒煙を吹いて海面へ落下。海水を撒き散らしながら海中
へ沈んで行った。
 旧退化したソードフィシュに替わって大英帝国が採用した艦上雷撃機だが、戦闘機に追い
込まれては分が悪い。
 英雷撃機を次々と落としているのは、ブロッシュMB152、旧式ながらも7.5mm×2丁、20
mm×2丁の威力は目覚しい物が有る。
「上空!! すべて味方機です!!」
対空見張り員が叫ぶ 既に艦隊の上空には黒煙を吹き上げる英雷撃機だけしかおらず、護衛の
シーファイアは海底である。(尚、ブロッシュも8機が落とされているが護衛駆逐艦に拾い上げ
られている)
「「ベアルン」のパイロットには後でリベラ・デル・ドゥエロを奢るとしよう、感謝状よりは、そっちの方が喜ばれるだろう」
 そういったフランシスコ・デ・パウロ少将だが、すぐに口元を引き締める
「空の敵は片付いた、次は目の前の羊を刈り取る番だ 艦長、洋上の敵はどうだ??」
「接近中です。 艦影 4。 距離 22100m 」
「目標の船団は?」
「敵艦隊の後方に退避中、敵駆逐艦。 煙幕の展開を始めました」
 艦長のファン・デ・べルボン・イ・ビッテンベーグ大佐が、双眼鏡から手を離さずに報告する。
なお、耳は伝声管に押し当てたままである
「いけるかな??」
「充分に行けますよ、今すぐに取り掛かれば」
「よいだろう −−掌信号長、カナリアス・バレアレスへ伝えよ。 『我へ続け』と」

9 :各国の事情:03/05/27 20:40 ID:???
 バウロの命を受け、ビッテンベーグは矢次ぎ早に号令を発する 彼の覗く大型双眼鏡には
4隻の艦影が移っている。 見張り員に寄れば一番大きな艦影は旧式巡洋艦カヴェンデッシュ
級だ。その19.1cm砲は仏の装甲巡洋艦に対抗する為に造られたもので最大射程19300m、
建造当時は何処の装甲巡洋艦もアウトレンジ出来るとされていた。其の単装砲を七基装備して
いる。
「目標! 最後尾のカヴェンデッシュ級。 主砲左舷砲撃戦」
「左32度、敵巡洋艦」「諸元入りました」「主砲1番 良し」「主砲3番 良し」「主砲4番 良し」
「撃ち方 始めィ!!」(同時に警報ブザーが鳴り、甲板の水兵が物陰に隠れる)
 一瞬の閃光の後、艦全体を包む砲煙。轟音が海面を打ち、砲弾は飛翔し、遥か20000m
以上の海面を叩いた。
「近弾!!!」
 弾着観測→電探諸元を元に距離と方向偏差を加えて第二弾、第三弾と砲撃を加える。
「敵艦発砲!!」
 彼方の艦影が赤白い閃光を発する。数十秒後、砲弾が飛来。 水中が上がるもまだ遥か手前だ
−お返しに撃ち返す、第6斉射で夾叉弾が出た。
向こうの弾丸は未だこちらには届かない 相手はやはりカヴェンデッシュ級のホーキンズだった
その19.1cm砲ではこちらまで砲弾を届ける事は出来ない。直後、砲撃音
「命中しました!!」
水柱の間に直撃の閃光を見出し、艦橋内に歓声が沸き上がる。 巨弾を浴びたホーキンズは激しく黒煙を上げつつ傾斜を強めつつある。


10 :名無し三等兵:03/05/27 21:02 ID:???
 巨弾。そうパウロ少将が指揮する艦は、戦艦だった。スペイン海軍の誇る海防戦艦「エスパーニャ」級のハイメ一世(U)
 基準排水量:14450トン。列強の弩級艦思想に便乗して計画された物で、「世界最小の弩級艦」として後世に伝わっている艦である。 だが、船体が小粒でも主砲は立派なもので30.5cm
(L50)連装四基を全部甲板に一基、艦橋と煙突の間右舷よりに一基、煙突と後檣の間左舷
よりに一基、後部甲板に一基搭載している。 竣工時には10.2cm単装砲20門と47mm単装
砲4基が有ったが、フランスでの修理・近代化改装にて10.2cm単装砲を8門に減じ、替わりに
10.5cm連装高角砲4基を艦中央部に集中配置し、他には37mm連装機銃8丁を各砲塔上に
装備している。機関も「ラ・メルポメーヌ」級の物を流用し15500PSから22500PSに向上し、最
高速力も19.5ノットから21.5ノットに上がっている。 後は装甲厚増加に伴い、船体にバルジ
追加と、揺動対策にキールの大型化をした位である。
 通商破壊艦としては不向きだが、スペイン沖を我が物顔で通行する英国船団を襲うには絶好の
艦だ
 ハイメ一世がホーキンズを打ち据えている間にカナリアス・バレアレスも砲撃を開始し、20.3
cm砲計16門を撃ちまくっている。 目標は、接近中の通称B級駆逐艦のバシリスク、ビーグル、
ブリリアントの四隻、健気にも彼女らは船団を守ろうと煙幕を張りつつスペイン重巡を備砲で牽制
している。 ハイメ一世とカナリアス・バレアレスが標的としているのは勿論英船団だ。

11 :各国の事情:03/05/27 21:03 ID:???
 シンガポールからイギリス本土へ戦略物資を輸送中のIK14船団。
 完熟訓練をかねて通商破壊作戦任務中だったフランシスコ・デ・パウロ少将は同盟国独逸から
同船団の情報を入手。ただちに艦隊を急行させた。 IK14船団は補足可能な位置を航行して
いたが、海図を睨むパウロ少将は眉をひそめた。IK14がツーロンを発した味方船団に極めて
近い航路をとっていたからである。
 パウロの予想通り、実際に両船団はきわどい距離で会敵した。 英の植民地であるシンガポー
ルは英国に米国から買い付けた物資を支援する。 そして独仏は燃料事情の逼迫したイタリアを
支援する。 二つの船団ルートがスペイン沖で交差するのだ今日のような事態が起きなかった
のは、奇跡に近い。 普通なら小規模の護衛しか持たないために「申し訳」程度の戦闘で済むが
英船団には「レゾリューション」が、仏船団には「ベアルン」が居た為、戦闘が生起した。
幸い、「ベアルン」からの先制雷撃隊が「レゾリューション」の艦首に魚雷2 B砲塔に60kg爆弾
3の損害を与えた為にR級戦艦は速度を落として落伍したが、護衛空母艦載機と「ベアルン」の
戦闘機との戦闘が続いた所にスペイン艦隊が登場したのである。
「敵、巡洋艦沈黙」
ハイメ一世は30.5cm砲弾を5発命中させ、ホーキンズを炎上させた。 カナリアスは接近して来た駆逐艦バシリスクを撃沈、バレアレスもビーグルに20.3cm砲弾2発を命中させたが、反撃
の魚雷を1発を食らってしまった。 ビーグルもブリリアントも反転し、煙幕の中へ後退して行った。
 本来ならばハイメ一世もカナリアスも敵を追撃する所だったが、機関区にダメージを受けたバレ
アレスを放って置く事は出来ず、止む得ずカナリアスにバレアレスの消化を手伝わせ、旗艦だけを船団攻撃に向かわせた。

12 :各国の事情:03/05/27 23:26 ID:???
 護衛の巡洋艦や駆逐艦ですら歯が立たなかったのである。船団の貨物船やタンカーは煙幕を
盾に脱出を図ろうとしていたが、その速力はせいぜい10数ノット。逃げ足の遅い羊達は狼に狩り
取られる運命だった。 せめて一時にやられまいと散開するがその中に突き進むスペイン艦隊
ハイメ一世は30.5cm、10.5cm連装高角砲、10.2cm単装砲、果ては37mm機銃まで
撃った。それ程肉薄しての戦いだった。 砲撃を受けた貨物船は炎上し、高角砲弾や機銃を浴び
たタンカーは強烈な火炎を吹き上げ、大西洋を赤一色に照らしあげた。
「近くに護衛空母も居るはずだ、沈めてドイツ人に借りを返すぞ。 敵空母を探せ」
パウロはパイプの煙を火炎のように吹きつつ言った。 修羅場と化した海上をハイメ一世が突き
進む、遅れて、バレアレスを帰還させたカナリアスも突き進む。 高揚感が艦隊上層部を駆り立て
、英雄感を募らせて行った。
 だが、待て。
 フッドを屠った独首脳部も思わぬ副兵に足を切断され損傷を被り、渋々「ライン演習」を中断せざ
るを得なかった。残りの獲物をあきらめて退却せざるを得なかったのではないか。
 まさに同じ事がパウロたちの身の上に起ころうとしていた。僚艦カナリアスから
「敵 駆逐艦 発見」の報告がパウロに入る。
スペイン戦艦の見張り員は目を凝らすが、敵艦は見つからない。海上に立ち込めた黒煙が視界を
奪い、漂い続ける船舶の残骸がレーダーの死角を作り出したからだ。
 否、それ以前に奢りが有った。
「「駆逐艦だと?? われわれが探しているのはそんな小物ではない、『空母』だ!!」」
という意識である。 だからこそ対応が遅れた。英駆逐艦ビーグルが黒煙から飛び出し、僅か
6200mから魚雷を放って来た時も、咄嗟には反応出来なかった。

13 :各国の事情:03/05/27 23:29 ID:???
 発射された魚雷はビーグルから8本、ブリリアントから4本。 雷跡が扇形と成って、ハイメ一世
に迫ってきた。
「面舵一杯!! いや、取り舵40!! 機関全速!!!」
炎上しつつ近づいて来るタンカーを見ながらパウロ少将は急いて指示を訂正した。 急速転舵、
海防戦艦ハイメ一世が波頭を切り裂き回頭する。一本は輸送船に止めを刺し、3本はかわした。
助かった。 と、そう思った瞬間、別の魚雷が白濁した海面の下を突進して来た。 号令を発する
暇もない。
 衝撃が下から付き上げ、パウロ達を床に叩きつけた。大音響と不気味な振動が艦を襲う。 
ハイメ一世、右舷後部に魚雷1 被雷。 艦長達は直ちに防水処理を指令。乗員達が慌てて船体
を駆け巡る。
 悪夢は続く。 ビーグルの放った12cm砲弾が、次々と周囲に落下。内数発がハイメ一世に直
撃するがかろうじてシタデルに弾かれる。 ただ、衝撃が乗員達に精神的ダメージを与える。
 すかさず、副砲に攻撃命令が下されたが、前述の残骸船舶と黒煙が視界を阻み、思ったように
駆逐艦を狙うことが出来無い。
 結局スペイン艦隊の反撃はカナリアスが戦列に戻るのを待たねば成らなかった。重巡は主砲に
よる砲撃を開始、ブリリアントに直撃一発を与えた。 英駆逐艦2隻はこれ以上の深追いは厳禁と
ばかり、再び黒煙の中へ退避。カナリアスも旗艦の損傷を心配して深追いはしなかった。
 流石に危機感を感じたパウロ少将は、一時撤退を指示、戦況を把握すべく、戦艦と重巡を戦場
から脱出させた。


14 :各国の事情:03/05/27 23:31 ID:???
ハイメ一世はエスパーニャ級の三番艦として1921年に竣工した。
スペインの、その長い歴史において、一時は「太陽王国」「七つの海を支配する国家」として名を
馳せていたスペイン海軍だが、十六世紀イギリス艦隊に敗れてから没落の一途を辿った。植民地
を奪われ、今は沿岸防備に徹するのみである。
 だが、1908年。 非効率な海軍工廠を、英造船資本導入によるスペイン造船会社に改組し
、これにより弩級戦艦の建造を命じた。これがエスパーニャ級で、英造船会社の設計により、主要
材料等は全て英国に仰いで建艦された。 ただ、各国の弩級艦並にするとドックの大きさに制限
が有るため、現有ドックの拡張工事が必要になる為、止む無く16000トン程度の世界最小の
弩級戦艦と言うよりか、海防戦艦的なものに成ってしまった。 それでも、主砲配置は同時期の
ネプチューン級を似通っており堅実な設計と言える。
 ただ、姉妹船は内戦の影響で消失して居り・・・ただ一つ残ったハイメ一世も味方からの空襲を
受け、自陣営の港でWW2まで放置されていたのである。彼女は朽ち欠けるかと、誰もが思った。
 だが、陸軍大国フランスを倒し、欧州では海洋国家イギリスを降伏一歩手前に追い込んだドイツ
第三帝国が、かつての太陽王国スペインに同盟を持ちかけた事で状況は変わった。

15 :各国の事情:03/05/27 23:36 ID:???
 アドルフ・ヒトラーがフランシスコ・フランコ将軍に交渉を持ちかけた結果。 スペインへの各種
兵器の貸与と既存艦艇の近代化が認められた。其の時、フランコ将軍はドイツにフランスの
中型戦艦を要求したが、居合わせたフランス代表が難色を示した。ヒトラーにしても地中海と
インド洋で英東洋艦隊への抑止力に成っているダンケルク級は易々と貸与する事は出来ず、
結局は戦艦の貸与はスペインの働き次第を見る事によって判断する事になり、替わりにフラ
ンスでの「ハイメ一世」の全面近代化改装に漕ぎつけたのである。
同時に、旧態化した巡洋艦も改良しドイツ製の射撃完成レーダーと新型魚雷を搭載している。
 その後、半年間の独仏士官による訓練により、ようやく2級海軍並の練度が期待できる様に
なった。(フランスからユダヤ系軍人の派遣が決まった事も練度の向上に一役買っている)
 装備だけを渡したドイツに対し、専ら教師役に徹したフランスはスペイン海軍を自国の艦隊
編成に組み込む様な事はせず、訓練終了後は指揮権をスペイン海軍に返還した。
 当初、スペイン海軍はドイツ・フランス海軍と共に作戦に加わろうとしたが、いかんせん主力の
ハイメ一世の速力と航洋能力に問題があり、遂行能力に問題があるのと、せっかく修理なった
主力艦と重巡を失うことへの心配から。結局がスペイン沿岸の防衛程度しか仕事は回って来な
かったのだ。 戦艦一隻に足して巡洋艦は2隻が付いた。カナリアス級のカナリアスとバレアレス
である。バレアレスは内戦時に自国駆逐艦の雷撃を受けて沈没してしまったが、同盟締結時に
ドイツより鹵獲重巡ケント級「サフォーク」を譲渡された。奇しくもケント級はカナリアスの母体と
なった艦であり、基本構造が似ていたために古参兵のなつきも良かった。 

16 :各国の事情:03/05/27 23:38 ID:???
「撃沈確実 18隻か、内一隻は巡洋艦。 一気にスコアを伸ばしたな だが、こちらの被害も侮れん。」
 戦果報告を聞いてもファン・デ・べルボン・イ・ビッテンベーグ艦長の表情は優れない。ハイメ一世
は敵駆逐艦の雷撃を受けて12センチ砲弾8発と53.3cm魚雷を受けていた。 特に深刻なの
は魚雷だ。左舷後部に命中した事により左舷機械室に浸水。非装甲区画による浸水が相次いだ
為に速力の低下は免れないだろう。
「作戦の中止を本国へ打電せよ」
フランシスコ・デ・パウロ少将が決断する。唯一と言っても良い主力艦だ。本国の司令部も良い顔
はしないだろうが無理は言って来ないだろう。
 それにIK14船団には壊滅に近い打撃を与えているのだ。これ以上欲張っても大した戦果も
上がらないだろう。
「速力はどうだ??」
「16ノットまで回復しました。運用長の報告によれば、18ノットを超えれば補修箇所に再び浸水
の危険性が有るそうです。」


17 :各国の事情:03/05/27 23:45 ID:???
ビッテンベーグ艦長は密林のような眉を顰めて答える。革命の折に革命派に組し、このハイメ
一世に補されて約一年。商戦狩りも三度目(二度は仮装巡洋艦にて)だが、これ程のピンチは
初めてだった。
 幸いいまのところ沈む恐れは無いが、問題は位置だった。どの港からも離れているのだ。
 進むべきか、戻るべきか。
 どちらにも味方と敵がが待っている。進めばドイツ・フランス本国艦隊と英国本国艦隊。戻れば
フランス地中海艦隊・イタリア海軍と英国地中海艦隊。
「とりあえず一番近いところに味方が居る。昨日、作戦協力した船団だ。まだ追いつける」
昨日は空母「ベアルン」の艦載機と上手く連携する事が出来た。
 ベアルンは建艦中止した戦艦「ノルマンディー」級の船体を利用した物で
基準排水量:22146トン
全長:182.6m 全幅:35.2m 速力:21.5ノット 搭載機:40機(半分を甲板に置く)。
飛行甲板の長さが短く、実用性に乏しかったが。ドイツとの空母建艦の為の技術交換の為に
カタパルトの技術を手に入れ、現行の戦闘機、雷撃機が運用できるようになった。
 ベアルンと合流すれば、その対潜哨戒の傘に入ることができる。眼下の敵に対する脅威も
薄れるはずだ。

18 :各国の事情:03/05/28 00:14 ID:???
「名案ですな。しかし、反対します」
短い首を振るビッテンベーグ艦長。パウロも特に意外そうな顔はせず、先を続けさせた。
「本艦は既にイギリス海軍最大の攻撃目標となっており、合流すれば味方船団に危機が及ぶ事
にも成ります」
「ふむ、貴官の言う事ももっともだ」
既にイギリスがハイメ一世を捜索している事は、既に無線の傍受にて関知していることだった。
通商破壊戦には一般には仮装巡洋艦や潜水艦を使うのが一般的だ。

隠密性、それに効率から言っても潜水艦が通商破壊に向いているのも明らかだが、各国とも
水上艦を同じ任務から引退させようとはしなかった。 レーダーや航空機の発達によってWW1
の様な大活躍は不可能になっているにも拘らずでもある。
 水上艦を投入するのは、その力と存在感をアピールする為だ。敵国にプレッシャーを与え、自国
民を鼓舞する。それは隠密行動が主体の潜水艦には出来ないことだ。だからこそ、イギリスは
ウォースパイトやレナウンを、ドイツはビスマルク・ティルピッツとシャルンホルストを、フランスは
リシュリュー・ジャン・バールやストラスブールを大洋に放つのである。
水上艦が敵の目を引き付ける事によって、友軍の通商破壊艦艇の仕事がやり易く成る事も大き
な理由だが、やはりパワー・プロジェクションこそが水上艦の最大の役割ともいえる。

19 :各国の事情:03/05/28 00:16 ID:???
 最も、それは諸刃の剣でもある。通商破壊の水上艦が敵の手にかかって沈められてしまえば
正反対の結果になってしまうからである。敵の士気は高揚し、自国民は憔悴する。
 だからこそ、通商破壊艦の運用には慎重を期さざるを得ないのだが、ドイツ・フランス・イタリア
の姿勢は積極的だった。
「脱出方向は北だ」
 パウロの判断に今度は異論は無かった。北−
−−北に行けばフランスやドイツの傘に入ることが出来る。
東方ースペインに戻れば、通商破壊をしている「ジャン・バール」を追いまわすイギリス大西洋
艦隊が待ち受けている事は間違いない。 旧式のR級戦艦が2.3隻、唯一の16インチ砲艦
ロドネーの南下も考えられる。(第二次ライン演習でネルソンはリシュリューに撃沈された)
入港できる港が限られるので、大英帝国の低速艦でも補足可能なのだ。
 南にいけばジブラルタルからのイギリス地中海艦隊が待ち受けている。KG5級の二隻とレナ
ウンが待ち受けている。
 北に行けば ドイツ本国艦隊のビスマルク、プリンツオイゲンとUーボート。フランス本国艦隊
のクレマンソーとシャトールノーと基地航空隊の傘に入ることが出来る。イギリス本国艦隊も考え
られるが、味方が多いほうが安心だ。
「本国の司令部は良い顔をしないだろうが、反対もしないだろう」
 協定を結んでいる枢軸海軍の港では、避雷箇所の修理も可能だった。だが、作業は相手任せ
になる為に、どの程度待たされるかが解らない。次の作戦行動も立てられない以上、上層部が
喜ばないのも確かだが、帰港途中に撃沈されるよりかはマシだろう。


20 :各国の事情:03/05/28 00:20 ID:???
「北に向かっても油断は出来ない。もし、追ってくるとすれば何があるか」
パウロが言うと、副官が海図の上に敵艦を示す駒をばら撒いた。
「追撃戦となるとR級とネルソン級といった、低速戦艦は除外されますし、距離も遠すぎます。
フッド・レパルスが海底から戻ってきたと言う情報は聞きません。クイーン・エリザベスとバーラム
はアレキサンドリアに、マレーヤはインド洋に、ヴァリアントは修理中。」
「ウォースパイトは??」
「修理は既に終わってるそうですが、ジャン・バールに痛めつけられたので港から出てくる気配は
ありません」
「怖気づいたか、気に食わんな。出くわすと厄介なキング・ジョージ・五世級はどうなんだ??」
「キング・ジョージ・五世、デューク・オブ・ヨークはスカパフロー。プリンス・オブ・ウェールズはU−
ボートに沈められました。アンソンとハウは修理中です」
「新戦艦のライオンとサンダラーは??」
「もう船体の儀装は終わっているらしいですが、砲塔は載っていないそうです。通商路を独仏伊で
締め上げておりますので資材が足らないのでしょう。後、1年は実戦は無理でしょう」
「ジョンブルを甘く見ないほうが良い、奴らはこちらが思ってもみなかった行動に出るからな」
「艦隊型空母は、本国周辺、地中海、インド洋、と 分散しております。しかし幾らなんでもフラ
ンス本土の近くまで空母を近づける事は無いと・・・ おっと、甘く見てはいけないのでしたな」
「もっとも大きな脅威は潜水艦。それに通商破壊作戦中の巡洋戦艦だな。この低速の艦
では、巡洋艦にすら振り切れん。奴らに見つからないうちにフランスへ逃げ込んでしまおう。
フランスに着けば、クレマンソーやシャトールノーが有る。彼らの応援が有れば、
まだまだ大英帝国に一泡も二泡も吹かせられる」
パウロがパイプに火を点し、一服をつける。それを横目にビッテンベーグが呟く
「いやいや・・・まだその前の段階だ。果たして本艦らが無事に辿りつけられるか・・・」

21 :各国の事情:03/05/28 00:22 ID:???
某翌日
前路を警戒するカナリアスの後ろを、ハイメ一世は追っていた。たった二隻のスペイン艦隊の
北進である。 大西洋の波は刻々と高さを増し、カナリアスのマストが上下に揺れる。その艦尾が
跳ね上げる波浪は細かく散り、重巡の姿は霧の中を駆ける様であった。ハイメ一世自身も艦首
から潮煙を吹き上げ、船体に不釣合いな12インチ砲塔までもが飛沫を浴びていた。
 空の大部分を占めていた初夏の綿雲も、驚くべき速さで千切れ飛んでいく。鋭い風を受け、戦艦
の信号索は悲鳴のような声を上げていた。

「悪天候は願ってもいない事だ。飛行機は飛べなくなるし、潜水艦も海面近くには居れまい」
双眼鏡を覗きながらビッテンベーグ艦長はほくそ笑んだ。視界もずいぶん悪くなっており、それ
だけ発見の確立も落ちるという事だ。
「思ったよりもツキはあるようだな」
航続距離の短いカナリアス(15ノットで8000海里)は海が荒れる直前に味方船団と合流した
際にタンカーから補給を受けていた。もし、順序が逆ならば、今ごろは時化の中で立ち往生して
いた筈だ。
避雷によってハイメ一世の速力は18ノットに制限されている。それでも、まだ普通の商船等よりも
遥かに速い。仮に追跡してくる艦艇が有ったとしても。この波浪では難儀しているだろう。
「艦長、パウロ少将がお呼びです」
副長に言われて、ビッテベーグは嫌な予感がした。公室に出頭すると、直ぐにその予感が的中し
たことを知った。

22 :各国の事情:03/05/28 00:23 ID:???
 悪天候が味方をしてくれることは確かだが、天候など全く意に介さず追ってくるものがあった。
電波だ。
 目に見えない「電波」と言う敵が、ハイメ一世を追いかけ、圧力を加えていた。
「イギリス軍は、本艦を沈める為に多くの潜水艦を出撃させているそうだ」
 パウロは机の上の無線信号文の束を掌で叩いた。
「どちらの情報ですか?」
「どちらかもだ、本国からもイギリス軍からも」
「そんな解りきった事を、また煽らなくてもいいものを」
「いや、それだけではない。奴らは、戦艦を含む有力な討伐部隊を本艦退治に差し向けている
そうだ」
「戦艦の艦名は?」
「公表されてはいないな」
「出来ないからですよ、そんな艦は存在しないのです」
「しかし、ウォースパイトの位地だけは、まだ掴めてはいない」
「そうでしたな・・・」


23 :各国の事情:03/05/28 00:25 ID:???
ビッテンベーグ艦長は固い表情のパウロ少将をまじまじと見詰めた。
「少将、たしかにウォースパイトが追ってきている可能性も有ります。38.1cm砲対30.5cm砲
の戦いでは、苦戦を免れません。速度も出ない上に味方は重巡のみ。圧倒的にこちらが不利だ。
しかし、今そんな事を憂いて考えて消耗する事こそ、奴らの思う壺ではないでしょうか」
「偽電か、そうかもしれんな」
「我がスペインがイギリスの後塵を拝する事にもなったのは、奴らの狡猾な知恵による物です。
年端の行かない洟垂れ少女を女王に仕立て、我が国を欺いた奴らをそう簡単には信じては
成りません。警戒は必要ですが、それ以上に過敏になることはありません」
「分かっているよ、艦長」

本当にそれならば良いが、と、思いながらビッテンベーグは円に切られた外の暗鬱な海の景色に
目をやった。
 隠れ蓑に成ると思っていた天候だが、良い事だけではない様だ。まったく、気が滅入って来る。
大英帝国に一泡吹かせると息巻いていた少将が僅か一日でこの有様とは。
「おや?」
机の上の電文綴りを目にしていたビッテベーグはワザと弾んだ声を出した。
「悪い事ばかりじゃない。本艦を援護する為に味方の潜水艦も集まっているそうじゃないですか」
「通商破壊戦に出てる一等潜水艦ばかりだ。U−ボートが10数隻、ルドゥタブル級が数隻か」
「それにフランスの領海に近づけば、奴らだってそう簡単には」
「それはそうだが−−−」
パウロの声は途中で遮られた。
砲声、すぐ近くだ。

24 :各国の事情:03/05/28 00:26 ID:???
暗灰色の洋上に閃光が走る。耳がまた衝撃で痺れている内に、次の発砲音がした。
 先行するカナリアスの砲撃だった、近距離の海面に8インチ砲をぶっ放している。
「カナリアスから通信。潜望鏡を発見との事です」
「潜望鏡?」
たったいま味方潜水艦の話をしたばかりだ。まさか同士討ちではないのか? パウロは急いで
カナリアスに射撃中止を命じ、見張り員を増員して海面の監視を行わせた。
「ソナーの反応は?」
「反応なし」
「聴音状況悪し」
重巡の砲撃の余波だ。いや、それ以前に海が荒れている。
「全艦、対潜警戒を続けよ」
ビッテンベーグ艦長は舌打ちをした。「対潜音響戦闘管制」こそ発令しなかったものの、見張り員を
強化させた。一時間ほどその態勢を取らせらたがカナリアスが見つけたと言う潜望鏡も、撃沈の
証である重油や破片も発見できず、怪しげな水深音もキャッチできなかった。
 流木の見間違いと言うことで騒動は落ち着いた。見間違い自体は良く有ることである。特に緊張
し、精神に余裕が無いときには。
 その後の丸一日、潜水艦発見の報告が五度あり、警戒配備が繰り返されたが、いずれも誤報で
有った。二日後、消耗したスペイン将兵の前についに敵が出現した。第一波は海でなく、空で
あった。


25 :各国の事情:03/05/28 00:27 ID:???
「電探(RDF)に感!」
0535時。電探伝令の声に、ハイメ一世の環境が緊張する。
「小編隊。左舷から近づく。高度500.敵味方不明」
「鳥ということはあるまいな」          ( ゚∀゚  )
「まさか、電探に引っかかる鳥が居ますか!」(  ゚Дメ)
流木を潜望鏡と間違えるのは訳が違う。ビッテンベーグ艦長は対空戦闘準備を下令した。
「友軍という事を示す連絡は無いのだな」
「もうこちらも見えている」
左40度方向。双眼鏡の中に数奇ずつに別れた小編隊が映っていた。全部十数機と言った所だ。
低空を飛んできたため、電探にかかるのが遅れたのだ。
 昨日まで続いていた曇天も、既に回復している。すっきりとした青空だが、接近してくる飛行機の挙動を見ては、とても爽快とは言い難かった。 攻撃機はさらに高度を落とし、編隊を扇状に広げて来る。
「雷撃機だ! 対空射撃、急げ!」 ビッテンベーグが叫ぶ
敵は英国海軍のバラクーダ艦攻。少ない機数から行って、英国の護衛空母の搭載機を差し向け
て来たのだろう。 大型の艦隊型空母をフランス沖くんだりまで接近させるのは考え難い。恐らくは
船団護衛の油送船改造空母から発艦したものだろう。


26 :各国の事情:03/05/28 00:29 ID:???
(後にIK14船団からの物と解る。商船空母は発艦作業を終えた所にUボートにより撃沈される)
 少数とは言え、雷撃機は脅威だ。今回はベアルンの戦闘機が護衛をしてくれるわけではない。
「撃て!!」
30.5cm砲に眼一杯俯角をかけて斉射する。海面が弾け、大きく盛り上がる。水柱で雷撃機を墜とそうと言うわけだが、バラクーダは既に懐に飛び込んでおり、主砲の斉射は一回だけに留まっ
た。
「敵機、魚雷投下!」
「雷跡左35度! 向かってきます」
「面舵!!! 一杯!!!!」
雷跡を睨みつつ、回避運動。同時にハイメ一世は対空射撃を撃ち出した。
 ハイメ一世は前述の通り、副砲の一部を下ろして対空砲を増加している。10.5cm連装高角砲
4基と37mm連装機銃8丁は大型巡洋艦にとって充分な装備だ。 追従するカナリアスも10.5cm高角砲と37mm機銃と13.2mm機銃で応戦。二隻は激しく弾幕を張り巡らせる。が、撃墜
できたバラクーダはたったの3機だけだった。 一方、バラクーダ艦攻も練度が低く、ヒヤリとした
のは左舷を掠めていった最初の一本だけで、残りは魚雷は見当違いの方向へ疾走して行ってし
まった。


27 :各国の事情:03/05/28 13:25 ID:???
0542時。初戦は7分ほどで終了し、英軍機は帰頭。
0712時。またも英軍機が姿を表した。機種はやはりバラクーダだが一機のみで対空射撃の
届かないところを回っているだけだ。
 触接機だ。スペイン海防戦艦の位地や様子を逐一自軍に報告しているのである。
目障りだが、打つ手は無い。水上機は積んでいないので、追い払う事も出来ない。
「いっその事、主砲を撃ってみては」
と、砲術長からの意見具申もあった。 ハイメ一世の主砲は26300mの射程を誇るが、巨弾が
当たるのは駆逐艦までの大きさまでで、航空機などの小さい的を狙うのはあまり得意ではない。
「確かに届きはするだろう。だが、当たりはしない。砲弾の無駄遣いだ」
撃って追い払いたいと言う誘惑はあったものの、流石にビッテンベーグ艦長は現実的だ。
「それより、フランスに連絡を取って、迎えを呼んだ方が良いでしょう。ここらの海で同盟国の艦艇
が沈んでは、ダルラン提督(フランス外相も兼任)も寝覚めが悪くなるはずだ。なに、こちらの位地
は既に敵さんに知られているわけですし無線で呼んでも差し支えは無いはずです。」
ビッテンベーグの具申にパウロ中将も頷き、援軍要請は直ちに実施された。
 それから3時間あまりが経過した、1014時。上空の敵機が去り、緊張が緩んだのもつかの間。
水平線の向こうから近づきつつある物が有った。

28 :各国の事情:03/05/28 13:27 ID:???
「電探に感! 複数の艦艇」
「マスト6本、40度、26500!!」
電探、続いて見張り員からも報告が入る。 敵か? 味方か?
 パウロ少将は貴下の二隻に取り舵を命じた。同航戦の態勢に占位する。
「通信は無いか?」
「何も入っておりません」
 無線も発光信号もなし。先方がさらに距離を詰めてくるのを見たビッテンベーグは総員戦闘配置
を命じた。
「ちっ、敵の方が早かったか」
右主砲戦用意を下令するビッテンベーグ艦長。緊張感を孕んだ時間が、じりじりと経過していく。
やがて見張り所は先方の変針状況に加え、艦種までも伝えてきた。
「巡洋艦3 駆逐艦3」
「巡洋艦はカヴェンデッシュ級1、リアンダー級2の模様」
「またカヴェンデッシュ級か」
数日前に砲をかわしたホーキンズの同型艦のフロッピシャーだった。19.1cm単装砲7基を搭載
した旧式艦。
 残りの二隻は軽巡リアンダーとオライオン。共に15.2cm連装砲4基搭載。英巡洋艦の煙突は
大体が三本で、一本しかないリアンダー級の見分けは直ぐにつく。
 残りの三隻はC級駆逐艦のクレセント・クルーセイダー・シグニットの三隻だった。

29 :各国の事情:03/05/28 13:44 ID:???
このクラスは戦前の1937年にカナダ海軍に譲渡されたのだが、大戦がはじまると再びイギリス
が引き取り、船団護衛に使用していたのだ。
(頻繁にカナダとイギリスの間で軍籍を変えていたので、まるでコウモリの様だと、フランスが
抗議していた)
「やはり船団護衛の部隊から分派されてきた物と見えます」
「敵戦闘艦、24000mを切ります」
「射撃用意を完成せよ」
二対六の闘い、ビッテンベーグの頭にあったのは「先手必勝」の一念だけであった。乱戦で懐に
飛び込まれて被害を受けたのだ、あの卑怯者をちかづけてはいけない。
「方位盤、良し」
「撃て!」
轟音と共に1番主砲が火を噴く。猛烈な爆風が艦橋の遮風硝子をビリビリと揺さぶる。それが止ま
ぬ内に着弾。2発の30.5cm砲弾が海水を威勢良く吹き上げる。
「艦を回せ」
今のままでは艦首の2門だけしか指向できないので、回頭をする。が、敵艦が逃げるそ振りを
見せる。前のホーキンズは敵わぬまでも果敢に応射して来た物だが、今回の敵は数で勝っている
はずなのに、煙幕を展開しつつ転舵した。
「見敵必殺の伝統も廃れたと見える」
「追撃は可能かね?」
パウロ少将の問いに、機関長から19ノットまでならば可能と返事が来る。海面が穏やかな為に
僅かだが速力が回復してきている。

30 :各国の事情:03/05/28 13:50 ID:???
「よし、追撃だ」
ハイメ一世も増速して追い駆ける。
僚艦のバレアレスは30ノットの快速を飛ばす事が可能だが、パウロはその手綱を引き締めた。
重巡だけが突出しては万一に各個撃破になる。チャンスを与えるだけである。
 それに、今はフランスの港に入る事が先決であり、敵の撃滅は二の次だ。30分ほど追い駆けて
反転。
 ところが、敵はこちらが追い駆けるのをやめると、途端に追撃を仕掛けてくる。そしてスペイン
艦隊は相手をする、逃げる、追い駆ける。そんな事が二度三度、起きてスペイン艦隊首脳部の
苛立ちが頂点に達する頃。
「命中! 命中です!」
射撃指揮所から弾んだ声が入ってきた。
ハイメ一世の砲弾が落下した辺りに、巨大な水柱が上がっている。それが崩れたときに、敵巡洋
艦が無残な姿を晒していた。
 軽巡リアンダーが30.5cm砲弾の直撃を浴びたのだ。轟火と黒煙、そして傾きかけた船体が
遠くからでも断末魔の悲鳴を望遠鏡に映せている。
 苛立ち始めていたスペイン艦隊首脳部たちが、歓声を上げ始める。
 だが、直後。歓声が消えぬうちに時体は一変する。電探室からの報告を聞いた一同は、顔から
血の気が引いていくのを実感した。
「電探に感! 大型艦です。0度方向(真正面)電側距離27000m!」

31 :各国の事情:03/05/28 13:52 ID:???
 現れたの敵輸送船団なのか? いや、英艦隊の指揮官が、あれほどの危険を冒したのだ。
味方の船団を危機に陥れる失策をするはずが無い。
 相手は戦艦だ。追撃をしていたはずのスペイン艦隊は実は英戦艦の待ち受けるポイントに誘導
されていたのだ。
「敵はウォースパイトか?」
「戦艦ですが、艦形不明。一隻のみです、20ノットで接近中」
「攻撃目標を敵戦艦に変更」
「了解。取り舵。右主砲戦用意、的側急げ」
ビッテンベーグ艦長が早口で指示する。
厄介な事に成った。相手が何級であろうと、イギリス戦艦で有る以上、ハイメ一世よりも大きな
主砲を積んでいるに違いない。
 通商破壊艦の鉄則にして、強敵に出会ったときの鉄則として、快速を生かして撤退をするに
限るのだが、今のハイメ一世は16ノットしか出ない。(全力発揮でも逃げられるかは微妙だが)
 更に、敵に背を向ければ。艦尾に二門しか指向出来ない。砲配置が背負い式でない為に
舷側の砲塔二基四門が遊んでいるのだ。主砲配置のデメリットが出るのはこういう局面だ。
パウロとビッテンベーグは敵の頭を抑えて全力射撃をしつつ、離脱すると言う戦法に出た。
(丁字戦法)

32 :各国の事情:03/05/28 13:54 ID:???
 当然、イギリス艦隊も気付いて、軽巡部隊を前に出し、増速する。面舵を取って同航戦の用意。
「敵戦艦、変針。増速」
「敵艦はロイヤル・サブリン級の模様」
「何、R級が何故こんなところに?」
 接近、変針して見せた敵艦はまさにR級戦艦の特徴を有していた。三脚艦橋、直後の一本煙突
、後檣。イギリス戦艦の中では最もシンプルな艦容である。(ネーム・シップのロイヤル・サブリン
級以下、全てRで始まる名前のためにこう呼ばれる)
 パウロたちが驚いたのは、全く予想していなかった局面での対峙だったからである。もし、ハイメ
一世を追撃してくるのであれば、高速艦の筈だった。低速で旧式のR級戦艦では万が一にも取り
逃がす可能性がある。しかし、パウロの前に現れたのはR級戦艦−−−「レゾリューション」で
あった。
 何もおかしいところは何も無い。比較的新しいKG5級はいざと言うときの為に本国にて温存
されているが、R級のような旧式戦艦は気軽に船団護衛に使用されることが多い。そしてレゾリュ
−ションは船団護衛に用いられたが、先の戦闘で「ベアルン」の艦載機の雷撃により損傷した
為に大事を取って船団よりも早く本国に帰還する途中に遭遇したのである。
 そんな事を見落としていたとは、パウロ達がいかに、追い詰められていたかの証拠と言える
だろう。
 レゾリュ−ションは、本国帰還前にハイメ一世包囲網の連絡を受けて東進。それと連携する
英艦隊の巧妙な誘導作戦により、ハイメ一世はまんまと戦艦の前におびき寄せられたのである。

33 :各国の事情:03/05/28 14:00 ID:???
旧式の為に、英海軍内では「棺桶戦艦」「旧弩級戦艦」「大型護衛艦」とまで言われているR級だ。
一年半前のジブラルタル沖海戦では、姉妹艦のロイアル・オークがフランスの戦列艦ダンケルク
に撃沈されている。 それでも、この局面に置いては強敵である事は間違いは無い。レゾリュ-ショ
ンの主砲は、ハイメ一世よりも強力な15インチ八門。速力は損傷を受けているとは言え、22ノッ
トでハイメ一世よりも早い。(同じ魚雷一本でも、艦のサイズとダメコン能力で差が出る)
「敵軽巡洋艦、変針、増速。本艦の前面に回りこみます」
 沈没しかけている軽巡リアンダーの横をすり抜けて、フロッピシャー、オライオン、C級駆逐艦
三隻がここぞと言わんばかりに攻撃位地に占位している。
 ハイメ一世を誘い込んだ手腕と言い、味方戦艦に対する支援行動と言い、流石は一世を風靡し
た英海軍である。
 パウロ少将は臍をかんだ。
「孤立無援、味方はカナリアスだけか」
「枢軸潜水艦が集結中のはずですが」
「それよりフランス海軍は何をしているんだ?」
募る危機感が幕僚達の口からこぼれる。フランスの玄関口に、何故に敵の戦艦(しかも手負い)
がうろつく事が出来るのか?

34 :各国の事情:03/05/28 14:07 ID:???
 それはフランスとイギリスとドイツ・フランスとの微妙な力関係が齎したものだ、両国のいびつ
な戦力的関係が英独仏のひしめく海域に空白をもたらしたのだ。
「『カナリアス』から入電。我、前敵掃討に入る」
先行する重巡洋艦は、退路を断とうとする敵艦隊の先頭艦に狙いを定めた。
 本来なら、ハイメ一世の主砲と共同でレゾリュ-ションに対抗したいところだが、退路を塞ごうと
する小物も無視するわけにはいかない。痛し痒しだ。
0950時。バレアレスは、果敢に発砲を開始した。目標は最大の脅威と思われたフロッピシャー
である。
 狙われた同巡洋艦も応戦。互いの中興警報が盛んに火を噴き、相手を海底に引きずり込もうと
している。 20.3cm砲8門対19.1cm砲7門の戦い。数字を見るだけなら、僅差だが、両者の
間には10数年の開きがあり、建艦技術・用兵思想に違いがある。それは砲の速射性や射撃管制
装置の差となって現れた。
 砲戦開始後第2斉射目でカナリアスに夾叉が出た。フロッピシャーは未だに見当違いの方向を
着弾させていた。 第五斉射後には直撃弾二発が命中。第二煙突と後部甲板に砲弾を受けた
フロッピシャーは、煙路を破壊され、脱出用のカッターを消し飛ばされ、後部機械室にダメージを
受けた。数千度の熱を持つ業煙が単装砲に取り付いていた水兵を焼き、甲板を炎上させる。
直後、遊爆した魚雷により、フロッピシャーは爆沈する。
 一方、未だ無傷のオライオンが距離を詰め、射撃を開始。15.2cm砲八門が轟然と火を噴出
す。同砲は戦艦ネルソン級の副砲を改良した物を用いており、最大射程は23300mであり、射
程では戦艦であるハイメ一世とほぼ互角である。

35 :各国の事情:03/05/28 14:11 ID:???
一方、ハイメ一世も射撃照準を整えて応戦する
「主砲、撃ち方始め!」
測距に耳を済ませていたビッテンベーグ艦長が号令を発する。
警報ブザーが鳴った後に、ハイメ一世は主砲を斉射。轟音と共に、連装4基の咆哮が砲弾を吐き
散らす。 それが達しないうちに敵戦艦レゾリュ-ションも有効射程距離に達し、砲撃開始。
 はるか20500m先での閃光を確認した見張り員が緊迫した声で応じる。
「弾着!」
遠方の水柱を観測中に、敵砲弾の落下音が聞こえてくる。身構える一瞬。直後、近くの海面が
弾け、大量の海水が豪雨のようにマストの先まで叩きつける。その高さ240m以上。大口径砲
同士での神経のすり潰しあい。
「旧式ながら、向こうもやるわい」
双眼鏡片手に、パウロ少将が眉根を寄せた。確かにR級戦艦は「棺桶戦艦」と呼ばれるほどの
旧式だが、英国海軍は電子兵装を惜しげもなく積み込み、強化をしていた。
 それは「第一次世界大戦の遺物」や「博物館行って良し」と味方からも言われながらも、一線とし
て英空母で活躍するソードフイッシュ雷撃機にも当てはまる。
 第一次大戦時建造の旧式巡洋艦も改良し、世界に先駆けて防空巡洋艦への改装も行った。
どの様なものでも戦力化して使い潰す。イギリスならではのしたたかさだ。
旧式二隻の英西の戦艦同士の一騎打ちが続く、発砲の度に砲音は洋上に轟き、互いの砲弾が
宙を貫く。

36 :各国の事情:03/05/28 14:12 ID:???
「着弾の閃光を確認!。命中、命中です!」
1025時。ハイメ一世の第五斉射が、レゾリュ−ションをとらえた。
30.5cm砲弾の一発が第一砲塔の上板を叩き、測距儀を破壊。同時に二発目が左舷中央部に
命中。ケースメイト式の副砲三門が破壊される。
 歓声に湧くハイメ一世の艦橋。だが、それから一分も経たない内に、今度はレゾリュ-ションの
15インチ砲弾数発がハイメ一世に降り注ぐ。
 一発は全部兵員室を斜めに抉り、海中で炸裂して浸水を巻き起こし。一発は第二砲塔の天蓋を
掠めて行ったが、ショックで砲塔が外れ、旋回不能になってしまった。深刻なのは最後の一発で
、砲弾自体はかすりもしなかったが、補機室に浸水を引き起こし、4砲塔を旋回させる水圧が
出せなくなってしまったのだ。これにより、斉射出来るのは4門までで、あるいは砲塔一つずつの
交互発射しか出来ないのだ。
 最初の夾叉によって、ハイメ一世は早くも火力の25%、実質50%を失ったのだ。
「ひるむな!!照準は合っている! 火力は半分が残っていればそれでいい!!」
ビッテンベーグ艦長が檄を飛ばす。

37 :各国の事情:03/05/28 14:13 ID:???
 第一、第三砲塔で斉射し、一拍置いて第四砲塔が火を吹く。打ち続けるうちに、数発の命中が
出た。うち一発が英戦艦のX砲塔の砲身に当たり、ショックで両方の砲身を捻じ曲げる。
 更に鋼鉄のハードパンチが交わされる。互いに高角砲やマストや副砲など、弱い部分が次々と
失われる。至近距離での打ち合いの為に、15インチ砲では水平弾に成り、的の小さいスペイン
海防戦艦に当てる事が難しくなり、一方12インチ砲では最大射程距離ギリギリの為に高落下角
弾となり、数値以上のダメージを英戦艦の弱装甲部に与える。
 だが、両者には決定的な違いが有った。一歩は戦艦として建艦された30000トンの戦艦であり
、一方は海防戦艦として建艦された物だと言う事を。スタミナや耐久性には大きな開きがあり、
時間と共に劣勢が明らかになる。
「索敵電探に感!距離32000!大型艦1 小型艦4!!艦隊です!!」
「くっ!!味方か!!敵か!!!」
「電探、ロストしました!!」
アンテナをくくり付けた後檣が、砲弾に吹き飛ばされたのだ。むしろ、この状況で今まで持っていた
のが奇跡に近い。

38 :各国の事情:03/05/28 14:15 ID:???
「カナリアスからの応答ありません!!」
唯一の味方である条約型重巡も苦闘していた。カナリアスは戦闘のはじめから1対4で善戦して
いたが、オライオンに前部砲塔二基、C級駆逐艦に3方向から攻められ、後部砲塔、高角砲、果て
は機銃までを乱射していた。
 オライオン、クレセント、クルーセイダ−に次々に命中弾を与えたが、カナリアスも被害を受けて
いた。イギリス前衛艦隊も多くの射弾をスペイン重巡に与えていた。
 カナリアスは巡洋艦としては航続力・航海性には優れているが独重巡の様に防御力に優れる
わけではなく、四隻がかりの集中砲撃を浴びてはたまった物ではなかった。
 4基ある主砲塔は2番砲塔以外の三基を潰され、マストや煙突は倒壊。そして艦全体を覆う
紅蓮の炎。
 まだ健在な高角砲や2番砲塔で戦っているのは感嘆すべきだが、重巡の命運が尽きかけ、沈む
のも時間の問題であった。
「カナリアスの乗員たちも、似たような目でこのハイメ一世を見ているのだろうな・・・・・」
硝煙がたなびく海面を見やり、パウロ少将が呟いた。
「カナリアスも戦っております。そして本艦もいまだ三基の主砲塔と三基の高角砲が健在です」
ビッテンベーグ艦長が硝煙でがらがら声になった喉から、声と闘志を絞って返す。 だが、艦は
艦長の奮闘も虚しく、測距儀とレーダーをやられては命中弾を出す事もおぼつかない。
 4基ある主砲塔は2番砲塔以外の三基を潰され、マストや煙突は倒壊。そして艦全体を覆う
紅蓮の炎。
 まだ健在な高角砲や2番砲塔で戦っているのは感嘆すべきだが、重巡の命運が尽きかけ、沈む
のも時間の問題であった。
「カナリアスの乗員たちも、似たような目でこのハイメ一世を見ているのだろうな・・・・・」
硝煙がたなびく海面を見やり、パウロ少将が呟いた。
「カナリアスも戦っております。そして本艦もいまだ三基の主砲塔と三基の高角砲が健在です」
ビッテンベーグ艦長が硝煙でがらがら声になった喉から、声と闘志を絞って返す。 だが、艦は
艦長の奮闘も虚しく、測距儀とレーダーのやられては命中弾を出す事もおぼつかない。

39 :各国の事情:03/05/28 14:19 ID:???
「敵戦艦の様子はどうか」
「2万mを切りました、直も接近中」
「近づいて止めを刺そうと言う訳か」
「なあに、奴も相当ガタが来ているはずです、少将。近づかないと、相手もよく見えないくらいに」
ビッテンベーグは直も強気で双眼鏡を握る。その身体には無数の鉄と硝子の破片が突き刺さり、
気力で立っているという感じだ
 双眼鏡の視界の向こうから、黒い艦影が近づいてくる。細かいディテールは分からないが、戦艦
ならではの重厚な姿が見て取れた。ふてぶてしいまでの大きさ。
「こんなフランスの庭先で白旗を揚げる訳にも行かぬな。一番、四番砲、良く狙って撃て」
ハイメ一世が死力を振り絞って砲撃する。だが、非情にも砲弾は目標から500mも離れて水柱を
上げるだけに留まった。
 レゾリューションが応射。悲鳴にも似た金属音が鳴り響き、艦橋に居る者が壁や舵輪に叩きつけ
られる。
 敵のマーク1 15インチ砲弾が艦のどこかに命中した様だが、もはや被害報告すら入って来ない
。いや、ただ一つ解っている被害がある。頭を打ったパウロ少将が気絶した事だ。ビッテンベーグ
は衛生兵に命じて少将を担架で医務室へ運ばせた。

40 :各国の事情:03/05/28 14:22 ID:???
英戦艦は更に砲音を響かせてハイメ一世に死への砲弾を浴びせてくる。
「くそっ」
ビッテンベーグ艦長は全身の痛みをこらえて立ち上がる。そうだパウロ少将が居ないこの艦橋で
下士官を支える者は俺しか居ない。俺が立たないでどうする。
 だが、砲弾が右舷に着弾し水柱が上がる。至近弾。大量の海水のシャワーが弾丸となって艦
全体に降りかかり、甲板の死体や残骸を海に洗い流す。
「万事休す。ココで沈めばドイツ・フランスへの嫌がらせにはなるか・・・・・・・・・。」
ドッゴォォォォオオオオオオオオオンンンンンンン!!!!!!!!!!
砲声が響き渡る。
「後方に艦隊接近、砲撃開始しました!!大型艦が3 中型艦が3 小型艦12!!」
「奴ら・・・・・艦隊を呼び寄せたか・・・・・たかが海防戦艦一隻に・・・・・
まぁ良い、ハイメ一世を造った奴らが自分でカタをつけるんだからな・・・何だ?」
ビッテンベーグの思惑と異なり、砲弾を浴びせられているのはレゾリューションの方だった。
大きな水柱が16本、それより小型の物が9本・・・・
ハイメ一世は撃っては居ない、ましてやバレアレスでもない。
「どう言うことだ?仲間割れか?」
悠然と走っていたレゾリューションは水柱だけでなく、火柱にも包まれていた。遠目にも艦が次第
に艦首寄りに傾いていくのが見える。水線下の破口が衝撃によって広がったのだ。
「大傾斜・・・・沈没! 敵戦艦、轟沈!!轟沈です!!!」
艦後部を高々と持ち上げて沈んでいくレゾリューションだったが、なおも砲激に襲われ、艦が沈む
前に大破壊音と共に爆沈してしまった。
凄惨なスペイン艦隊の甲板上に歓声が沸きあがった。傷ついていた乗員達も、立ち上がり、歓喜
の輪に加わった。キスを交わす物も居る。

41 :各国の事情:03/05/28 14:25 ID:???
 突如、主力のレゾリューションを撃沈された前衛部隊は明らかに狼狽した。他の艦の多くが被弾
しており、それにフランス海軍も何時やってくるか解らない。第一、霧の向こうに未知の艦隊が
居る。長居は無用だ。 慌てた彼らは攻撃を中断し、反転。北上して行った。スペイン艦隊に追う
力は残されていない。
「カナリアスにが沈む前に近づけろ、酷いな。よくあれで浮いていられる物だ。
 ・・・・・・・・しかし、何だったんだ?味方なのか?」
ビッテンベーグは次第に近づいて来る艦隊を見やった。
先頭の艦は巨大な主砲塔を前甲板に二基集中させている。後続のやや小ぶりくらいの艦も同じ
様式だ。三番目の艦は3連装砲塔を前に2基、後に一基積んでいる。 そして、重巡と軽巡が
駆逐艦を引き連れてやってくる。
「あれは・・・・・先頭の二つはフランス艦だ、後ろの一隻はシャルンホルスト級だろう。そうか、彼
らはやって来てくれた・・・・」
 実は独仏共同で通商破壊戦の演習を行う予定でブレスト港に集結していたのだ。 リシュリュー
級三番艦「クレマンソー」と改ダンケルク級「シャトールノー」や防空軽巡「ギッシャン」、ブレスト
工廠にて不調だった機関を換装した「シャルンホルスト」と重巡「プリンツ・オイゲン」が、フランコ
将軍ら救援要請に応じたヒトラーとダルランから任を受けて急行したのだ。
「やれやれ、やっぱり頼りに成るのは『友軍』と言う事かい」
 ビッテンベーグ艦長は近づいてくる独仏練習艦隊へ向け、敬礼を送った。

42 :各国の事情@終章:03/05/28 14:26 ID:???
 フランス沖の鼻先にて行われた海戦は結局の所、執拗に追っ手を差し向けた英海軍の敗北と
なった。スペイン艦隊に大打撃を被らせた物の、代わりに貴重な主力艦を失い、更に双方に有効
な取引材料が出た結果。スペイン艦隊が復興するまで最新鋭の仏軍艦2隻と、完調に成った
独通商破壊艦隊がスペイン沖に展開する事と成ってしまった。
 これにより、大西洋沿岸の航路が更に狭められ、大英帝国の台所は更に惨憺となり、今後の
建艦計画に闇をもたらす事になるのだった。

43 :各国の事情@新章:03/05/28 15:05 ID:???
第二章 獅子は未だ牙を閉じず
 星一つ見せぬ闇夜の下、灯火管制された艦隊が静々と進んでいく。
先頭を従者のように進む防空巡4隻と、それに連なる8隻の駆逐艦。そして、後方を進む艦はある
種の、独特のシルエットを持っていた。
 排水量にして4万トン近くある船体は不自然に喫水が浅く、巨大な箱型艦橋と簡略化された
後部三脚檣。そして、本来は砲塔が収まるべき場所は甲板装甲と同じ厚みを持つ装甲板が張ら
れ、代わりに13.3cm連装両用砲を甲板に所狭しと並べられている。
 それは、大英帝国期待の新型超弩級戦艦「ライオン」。本来は45口径16インチ砲三連装三基
九門を装備した、ドイツのビスマルク。フランスのリシュリュー。イタリアのヴィットリオ・ヴェネト級を
性能で凌駕できる大戦艦と成る筈だった。

 だが、独仏伊の通商破壊戦に起因する戦略物資の欠乏と、バトル・オブ・ブリデンの後遺症で
海軍工場の復興が遅々として進まず、16インチ砲を乗せる事が出来なかったのだ。その為、
既存の15インチ砲やKG5の14インチ砲を載せる事を考慮されたが、R級やKG5級が度重なる
艦隊戦で消耗するに至って、砲身や装甲板の生産が難しくなった為、遂には主砲さえも載せる
ことが出来なくなってしまった。だが、逼迫した戦争状態は未完成の戦艦でさえ休ませてはくれ
ない。

 何故なら、船団護衛用のR級戦艦「レゾリューション」を、先の「ブレスト沖海戦」において失って
しまったが為に、船団護衛に使える手駒が減ってしまい、追加要員がわりで半ば強引に護衛艦隊
に編入されてしまったのだ。海軍では期待の新戦艦が備砲もないのでは話にならないとして、
ダイドー級用に過利生産された13.3cm連装両用砲を常用8基に追加し、合計24基も載せたのだ。

44 :各国の事情:03/05/28 15:16 ID:???
 その、戦艦としては妙に「真っ平」然としてしまった甲板を見やりながら、エドワード・グロッグ
艦長が呟く
「今晩が新月で良かったですなあ・・・、月一つ無い夜ならば、忌々しいダンケルク級やカイオ・デュ
イリオ級に襲われる事もなさそうですな・・・」
 それに、窓の外を見つめていたベンボー司令が答える
「往時は、世界の海を制していた我が大英帝国海軍も、今は二級海軍に地中海と大西洋の制海
権を奪われ、風前の灯か・・・。まさか、大英帝国最強最強戦艦が「大型護衛艦」となって竣工され
る事になるとは・・・・ フィッシャー提督も驚きだろうな・・・」
「まったくです、物資欠乏のために主砲塔も載せられないとかで・・・・ 二番艦の「サンダラー」は
先日沈んだレゾリュ−ションの予備の15インチ砲を連装で三基積むそうです・・・・・」
顔を下げたままで拳を握り固める参謀長。
「まぁ、体の力を抜きたまえ。近々本国で大規模な輸送船団を本国に送る準備が進行している。
これが通れば、同じく主砲も乗せられていない三番艦の竣工も早まるだろう。ココで私たちが輸送
船団の輸送を完了させる手伝いを極東ですれば、イギリスは後半年間は戦える鉄鋼と油を手に
入れることが出来る。 田舎海軍に我ら大英帝国の底力を見せ付けてやろうじゃないか。」
「まったくです! だが、この「ライオン」とダイドー級4隻と護衛駆逐艦二戦隊が有れば、極東艦隊
も一大戦力に成りましょう。」
「うむ、一つの攻勢も仕掛ける余裕が有るだろうな」

45 :各国の事情:03/05/28 15:20 ID:???
岸壁にて儀装状況を見守るベンボー司令とエドワード・グロッグ艦長
「まさか・・・・・・・・・このような姿晒す事になるとはな・・・・・」
「『無い』よりかはマシですが・・・・・。この場合は『有って』もイヤですね・・・・」
シンガポールのセレター軍港にて、改装を受けている「ライオン」。船団護衛時には「真っ平」
だった前後甲板に「砲塔」を乗せる工事をしているのだが・・・・
「まさか・・・・大型巡洋艦の砲塔・砲身とはな・・・・・・・」
「昨今の物資欠乏のため・・・・・恥を忍んで・・・・・・・ですね」
 太平洋の要、シンガポール・セレター基地工廠でも、物資欠乏は大問題であった。燃料となる
重油は無尽蔵に産出されてはいるが、鉄鋼はオーストラリアから持ってこなければ成らない。 
だが、その鉄鋼を積んだ船の多くは独仏伊の通商破壊艦隊によって沈められるか、拿捕されて
いるのだ。
 幸い、アメリカとの裏取引によって、大巡「アラスカ」級の砲塔・砲身を秘密裏に輸入する事が
出来た。本来は基地に据えつけて要塞砲として使用するはずだったのだが・・・
「でも、一応は格好はつきましたよ」
「格好だけでいくさが出来るか・・・、と言っても、大鑑の無いココならばコレで充分か・・・・」

46 :各国の事情:03/05/28 15:22 ID:???
 来月には輸送船団「IM12船団」が出航する事になる。この輸送船団が本国に辿り付けば、
本国は半年間は充分な作戦を行動を行う事が出来、ライオン級の三番艦も竣工出来るのだ。
そうすれば、英本国離脱作戦の足掛けに成るだろう。 

 それと、輸送作戦と同時に、失敗してしまったタラント湾空襲を再び行う。前回では低速の空母
機動部隊はたまたま、進路上を進む民間船に発見され、攻撃する前に軍に打電され、急遽迎撃
に上がった戦闘機隊と基地対空砲火に遮られて失敗してしまった。
(不運は続き、帰路には「イラストリアス」がUボートに雷撃を受け、大破してしまった)
「今回は、向こう(戦艦・空母)が囮で、こちら(護衛艦隊)が主力ですからな・・。せいぜい引っ掻き
回してもらいましょう。」
「うむ、彼らには悪いが今回は犠牲になって貰う、だが、次こそは我らが海戦の主力となって、枢
軸軍に目に物を見せてやるのだ!」

彼らが基地で自分勝手な世間話をしている頃。太平洋には「帰ってくる者」が居た。

47 :各国の事情:03/05/28 15:24 ID:???
 洋上を東に向けて進む艦隊が見える。前方には駆逐艦と大型駆逐艦が哨戒を勤め、その後方
に6インチ砲を7門積んだ奇妙な巡洋艦、そして三脚檣の戦艦が続き、更に後方には「まっ平ら」
の艦容を持つ船が続いていた。
戦艦マニアが居たならば、その艦隊の奇妙さに首を傾げただろう。
 大型駆逐艦は「トロンプ」、巡洋艦は「デ・ロイヤル」級軽巡、仮想敵国の日本の古鷹級のカウン
ターとして建艦された。その後方の艦は「ネヴァダ」級戦艦。さらに後方は「インディペンデンス」級
軽空母だ。
 だが、何故米艦隊が東へ向かうのだろうか? もし、洋上に国旗に詳しいものが居たならば、
奇妙な点に気付いただろう。
 戦艦のマストに翻るは「赤・白・青」の横帯が描かれた国旗。 そう、この艦隊はオランダの艦隊
なのだ。
 独逸軍の侵攻により、国を追われたオランダ首脳陣と一部の軍人達、アメリカに亡命した
艦隊が、友邦国イギリスの危機に立ち上がったのだ。そして、今一、欧州戦に乗り気でない世論
の為に、英国への支援を大っぴらに行えないアメリカが、オランダの「失われた国土の回復」を
紳士的精神により支持すると言う「大義名分」により、オランダ艦隊に旧式艦・補助艦艇を貸与し
て太平洋に送り込んだのだ。

「言ってみるものですな・・・・ まさか、戦艦と空母を一隻ずつくれるとは・・・・・・」
「うむ、やっとアメリカも重い腰を上げたようだ」
旧「ネヴァダ」現「ゼーゴイセン」の艦橋でカレル・ドールマン中将が呟く。
「これだけの戦力が有れば、独仏伊東洋艦隊も一捻りでしょう」
「うむ、正しいオランダに戻すのは、植民地に根拠地を作ってからだな。
その為には・・・イギリス東洋艦隊と協力し、サイゴンに巣食うドイツ潜水艦隊と
フランス東洋艦隊を潰す必要がある。」
「先行きの見えない、苦しい戦いに成りますな・・・・」
「だが、我らは帰ってきたのだ。取り戻すために・・・・」

48 :各国の事情:03/05/28 15:25 ID:???
1945年 サイゴン ドイツ極東潜水艦隊司令部

酷暑の中、司令部の地下の情報部での会話

「おいおい、何だこりゃ」
 偵察機が撮って来た数枚の偵察写真を虫眼鏡で覗き込んでいたハンス・リッター中尉が興奮し
た声を上げた
「どうした? ライオン級の2番艦がやってきたか?」
分析科の上司、シュバルツ・フォン・エーベルバッハ大尉が、「本物」のコーヒー片手に覗き込んで
来た。
「いえ、そうではないです。アメリカさんが重い腰を上げたようですよ、腰抜けの逃亡者に強力な
武器を与えたようです。」
最初の写真はシンガポール・リンガ泊地周辺の物で、数隻の戦艦と巡洋艦が停泊している。その
中には新鋭「大型」護衛艦「ライオン」の姿も有る。
「次がコレ。フィリピン近海で撮った物です」
第二グループの束を渡す。ろくに煤煙処理もしていないがために盛大に黒煙を上げて単縦陣で
突き進む艦隊が写っていた。

49 :各国の事情:03/05/28 15:26 ID:???
「いいぞ・・・・・いいぞ・・・・・・キターーーーーーー!!!!!」
ココは独潜水艦「U−44」艦内、潜望鏡を覗き込みながら、奇声を上げているのは、クルツ・フォン
・エーベルバッハ中佐。ちなみに分析科のシュバルツ・フォン・エーベルバッハ大尉の従兄弟で
ある。
「大型艦航走音探知しました! 数20! 方位270度、距離33000! 速力25ノット以上!」
聴音室からの報告が入る、狭く蒸し暑苦しい司令塔に緊張が張り詰めて、薄暗い中で疲労に
あえいでいた帝国乗組員に緊張の一線が張り詰める。
 1週間前、極東司令部からの出撃命令を受け、サイゴンの潜水艦隊基地から出撃したが、命令
は「敵輸送船団を補足し、之を撃沈して混乱させよ」だけなのだから最近では忍耐強い乗組員も
少々ダレ気味であった。
 そんな折の大型艦発見。艦内の志気は急遽ヒートアップする。
「あ・・・・あの・・・・・・・艦長、「英国」の輸送船団がみえるのですか?」
この辺りで船団を組んでいるのは交戦中の英と、厄介な事に枢軸国に未参入の日本だけだ。
今日の午前中にも輸送船団を発見し、攻撃しようとしたが。実は日本の輸送船(同じ船会社の
船舶が只連なっていただけ)だった為、今の輸送船団もスコアに入らない可能性がある。
「船団?そんなものはどこにもない。いえるんだ、あそこにでかぶつがなァアアア!!!!!!
間違いない。アレは英の『ライオン』だ。立派な戦艦だぞ。」

50 :各国の事情:03/05/28 15:27 ID:???
「『ライオン』?」
副長の声が裏返った。おかしい、アレは主砲も乗っていない。大型汎用護衛艦のハズだ。
訝しがる副長は、艦長に潜望鏡を譲って貰い、自分の眼で確認する。
 長船首楼構造の船体に大型の3連装砲塔が三つ、箱型の艦橋にレーダーが載ってて、優は
28ノットは出てるであろう。我が国の「ビスマルク」に劣らない勇壮な姿だ。
「どうだ、英の主力艦だ。あれをやる。総員、戦闘準備!!艦首発射管室、雷数四、射角1、
距離3000!!。焦らずに急げ」
艦内を速やかに移動する乗員。久しぶりの大物だ、過去にPoWを群狼戦術で屠った時以来だ。
「艦長、いけません。我々の主任務は輸送船団の攻撃です」
と、言いつつも副長の目は笑っている。
 艦長は至極真面目な顔で答える。
「いや、ココで奴を叩いておかねば仏印の我が水上艦艇では太刀打ちできん。向こうが油断して
いる今こそ、チャンスだ」
「発射準備完了しました」
水雷長の報告に思わず舌なめずりをする艦長。
「発射管注水」
「発射管注水しました」
「発射管扉開け」
「発射管扉開きました」
最高のタイミングで艦長は下令する
「撃てェエエエエエエエエィィィィィ!!!!!!!!!!!!」

51 :各国の事情:03/05/28 15:32 ID:???
見張り員が驚愕の表情で叫ぶ
「左舷15度、雷数四!!! 距離1500m、魚雷きます!!!」
「何ィ!!!」
 ベンボー司令が叫び、続いてエドワード・グロッグ艦長が対応を叫ぶ
「急速転舵!!面舵一杯!!急げ!!」
排水量4万トンの戦艦が軋みながら回頭する。だが、遅すぎた
轟音、水柱、大振動。全艦乗員全てが転げる
「左舷一本!!艦首に命中!!」
「応急処理班、処置急げ!! 右舷注水、傾斜回復に努めよ!!」
だが、艦首に触雷した一本は幸いにして垂直装甲が衝撃を弾き返した(艦が左舷側に傾いた為、
装甲帯が水線より潜った為と、独潜水艦の魚雷が調定深度が浅かった為。)
「左舷艦首浸水するも航行に支障は無し! 装甲板に歪み発生するも許容範囲内!!」
応急処理班が逐次報告してくる反応に思わず安心するベンボー司令
「さすがだな・・・・魚雷の一本では我が艦は沈む気配も無い」
「我が大英帝国の造った艦です。魚雷の一本や二本で沈んでしまっては面目が立ちません」
「だが、この艦も無数のダメージを追っている。このままでは今後の作戦行動に支障をきたすな。
一旦、リンガに戻るか」

「艦長、第二次攻撃はなさらないのですか?」
「無駄だ、敵は速力30ノットの高速戦艦。それに護衛の駆逐艦が引き返してきた、長居は無用
だ、攻撃とは『攻撃は大胆に、撤退は慎重に』行うのが吉だ。サイゴンに戻るぞ。戦闘日誌に記録
しておいてくれ、「ライオン級戦艦に魚雷二本命中。撃沈に至らず」我々の今回の戦果にしては
上出来だ。さて、総員対衝撃用意!。怒り狂った馬鹿がしこたま爆雷を降らせてくるぞ」

52 :各国の事情:03/05/28 15:35 ID:???
「聞いてるのか、ガリバルディ、アヴェローフ!! 昼間っから、女の話をしてるんじゃねぇ!!」
S・デュモン飛行長の激が飛ぶ。
「しかも、今は任務説明の真っ最中だ。よっぽどいい女なんだろうな??」
「もちの論です」
「とーぜん」
J・ガリバルディ中尉、S・アヴェーロフ中尉、二人とも平然と答えたので待機所が爆笑の渦に
包まれる
「救いようのない色ボケ連中だ。ほかにも昨晩の酒が残ってる奴や、寝てる奴が居たら、そいつの
耳の穴をボーリングして、瞼をかっ開いて、良く俺の話を聞ける様にしろ!!」
飛行長の大声で、椅子の上で寝ていた奴も、二日酔いで頭を抑えてる奴も跳ね上がる
「ここは航空母艦『スパルヴィエロ』の艦内。お前達は戦闘雷撃機のパイロットだ。解ったか!
これから行われるの演習ではない。実戦だ、目標は戦艦(コラッツァータ)『ライオン』!
いつまでもだらけていると、女も抱けなくなるし、酒も飲めねぇぞ!!解ったかゴルァ!!」
最初はだらけていた搭乗員達も段々と、目が据わってくる。ギアがTOPに入ったのだ
 イタリアが極東の戦いに参戦したのは、昨年五月に、ライバル国のフランスがドイツと共に仏印
に通商破壊用の極東艦隊を派遣した為だ。以後、フランスとは地中海への輸送ルートを巡っての
手柄争いが続いていた。とは言っても、双方共に基地航空隊、潜水艦基地、駆逐艦、巡洋艦等を
使っての通商破壊くらいで、大型艦は滅多に出撃する機会が無く、たまに出ても、空振りに成って
しまい、乗員達がだらけてくるのは自然の摂理であった。
 だが、今回だけは事情も違った。
 昨夜のうちに英護衛艦隊がU−ボートに捕捉され、魚雷二本を受けて損傷を受けた。
 損傷を被った戦艦『ライオン』がシンガポール・リンガ泊地へ向かっているという。
既にサイゴンを出港していたイタリア第二航空艦隊に、ドイツから応援要請が発せられていた。

53 :各国の事情:03/05/28 15:36 ID:???
 コレは好機だ。
 『ライオン』は極東最大の戦艦(大和級の存在は秘匿されている)であり、欧州でも有力な戦艦
だ(どの艦も16インチ砲が未搭載だと言う事は未だ見抜かれていない)。先月には姉妹艦の
『サンダラー』が、地中海でイタリアの高速戦艦『アンドリア・ドレア』を撃沈している。
(伊公称:第二次タラント沖追撃戦)
 地中海に生息する『ライオン』級高速戦艦は「大独伊仏西露同盟」でさえ手を焼く存在なのだ。
その一隻を今、「隅っこ艦隊」と呼ばれる伊極東航空隊が捕捉しようとしている。
『スパルヴィエロ』の飛行長ならずとも緊張はしようという物だ。
飛行長が地図板を使って説明を始める。
「『ライオン』の現在位置はココだ。奴が30ノットの全速で逃げれば、難なく海軍基地に帰りつく事
が出来るだろうが、「U−44」の雷撃でさしもの『ライオン』級も20ノットがやっとらしい。
 我らが『スパルヴィエロ』の艦載機なら追いつける。お前たちの手の届く距離に奴は居る。この
場に居られる事を神と、我らが総統(ドゥーチェ)に感謝するんだな。」
「おおっ」っと、どよめきが上がる。
 確かに、この場に居るのはイタリア軍でも限られた人間だ。何故なら、『スパルヴィエロ』は
イタリア海軍の第二の空母で、「独仏伊」極東艦隊唯一の空母であるからである。

54 :各国の事情:03/05/28 15:38 ID:???
 長い間、基地航空隊だけで充分と考えられたイタリア海軍だったが、仮想敵国フランスが「ベア
ルン」だけならまだしも、艦隊型空母『ジョッフル』級を計画した事により変わる。
奴らよりも優位に立つ為にこちらも艦隊航空兵力を持つべきだ。鈍重な爆撃機では無理なんだ。
 1926年。客船「ローマ」を接収し、航空母艦への改修を行う事になった。それが姉妹艦『アク
ィラ』だ。当初は簡単な工事で済ませて補助空母にする筈が、関係者の熱意が上層部を動かし、
本格空母への道を歩ませた。ジェノバのアンサルド工廠で行われた工事は、客船としての上構を
全て取り払い、全長を超えるような飛行甲板を設置し、近代的な煙突と一体化した艦橋と、大掛
かりな物となった。また、艦内も細かく区切られ、沈み難い構造と成った。(間接防御方式)
更にバルジを装着し、魚雷対策にコンクリートを充填した。
 右舷中央に設けられた艦橋と煙突、ドイツから齎されたカタパルトまで装備された広い甲板。
『アクィラ』はイタリア海軍が始めて手掛けたとは思えないほどの完成度の高い空母となった。
 御披露目の観覧式にて飛行機が、『アクィラ』に着艦した時は居合わせたヒトラーとムッソリー
ニが起立、拍手喝采したほどだ。

55 :各国の事情:03/05/28 15:42 ID:???
 だが、二番艦として空母『アウグストゥス』を接収して同様の改装をされる筈だった『スパルヴィエロ』は姉貴分の『アクィラ』に費用をぶん取られて、改装案よりも質素な艦となってしまった。
 コストダウンはあちこちに現れ、全通式の飛行甲板こそ有れ、前端部から艦首へ向けての部分
は、幅が5m程の細い物と成ってしまった。(これは艦首に置かれた対空砲の射界を確保する為
だと言われる)また、島型の艦橋は装備されず、飛行甲板の前端部に設けられた。
 対空砲も同様で、当初「15.2cm単装砲6基、10.2cm単装砲4基、機銃少々」と言う要目
だったが、流石に「対空武装が貧弱」だと言う訳で、途中で「100mm(47口径)連装高角砲
6基、13.2mm連装機銃8丁」に変更された。
 甲板は全長204m、格納庫は全長140m弱でその上部にのみ船体幅と同等の飛行甲板を
持ち、それから艦首へ向け、前述の細長い射出甲板が有り、一応はカタパルトが装着された。
ちなみに格納庫後端から艦尾へは、飛行甲板は存在せず、全体的に飛行甲板長は183mで
ある。(飛行甲板の形状は英の「アーガス」を参考にしたと思われる)
更に特異なのはエレベーターで、飛行機の形状に合わせて「十字型」をしており、実用最小限
の大きさしかない為に大型の雷撃機は運用できない状態である。
 機関部は客船時代のままで、ディーゼル機関で18ノットを発揮する。煙突は設計では飛行甲板
下両舷に排出する方式だったが、『アクィラ』に倣って右側に傾斜煙突を設け、指揮所を組み
込んだ。ちなみに機関区を魚雷から守るために機関区と同じ長さのバルジを設けた。

56 :各国の事情:03/05/28 15:46 ID:???
飛行長は搭乗員の顔を見回した後、満足げに頷いた。
「ようやく自分たちに課せられた使命の重さに気付いたか、だが、これは好機でも有る!
お前達、「スパルヴィエロ」航空隊の活躍如何によっては、枢軸内の位置付けも変わるかも
知れん。綺麗なねーちゃんと遊ぶ金が欲しくば、せめて戦艦に魚雷を一本でも当てるこったな」
「魚雷一本? 飛行長も志しが低いですなー」
「撃沈ですよ、一撃必殺主力艦撃沈。それ以外は考えられませんな」
ガリバルディ、アヴェローフ両名が声を合わせて応え、後ろの搭乗員仲間も頷きあう
「ほう、さしもの色ボケ共も、気合が入ったらしいな」
「当たり前ですよ。良い女が掛かっていますからねー」
結局の所、女が動機だった。ラテン系らしいと言うべきか・・・・

 ガリバルディ、アヴェローフ、サンソン、ヴェルトの四人の飲み仲間が、サイゴン港の
酒場に遊びに行った際、四人が四人とも心奪われた美女が居たのだ。だが、彼女は一筋縄では
行なかった。
「あたしは度胸の有る男が好きなのさ。そう、敵の船を一番でっかい船を一人で沈めちゃうよう
な、あんたらに其れが出来る?」

大きな胸を突き出し、見事の啖呵を切って見せた。
「ライオン」なら彼女の出した条件に十分見合う。ここで沈めないわけには行かない。

57 :各国の事情:03/05/28 15:48 ID:???
飛行長は搭乗員の顔を見回した後、満足げに頷いた。
「ようやく自分たちに課せられた使命の重さに気付いたか、だが、これは好機でも有る!
お前達、「スパルヴィエロ」航空隊の活躍如何によっては、枢軸内の位置付けも変わるかも
知れん。綺麗なねーちゃんと遊ぶ金が欲しくば、せめて戦艦に魚雷を一本でも当てるこったな」
「魚雷一本? 飛行長も志しが低いですなー」
「撃沈ですよ、一撃必殺主力艦撃沈。それ以外は考えられませんな」
ガリバルディ、アヴェローフ両名が声を合わせて応え、後ろの搭乗員仲間も頷きあう
「ほう、さしもの色ボケ共も、気合が入ったらしいな」
「当たり前ですよ。良い女が掛かっていますからねー」
結局の所、女が動機だった。ラテン系らしいと言うべきか・・・・

 ガリバルディ、アヴェローフ、サンソン、ヴェルトの四人の飲み仲間が、サイゴン港の
酒場に遊びに行った際、四人が四人とも心奪われた美女が居たのだ。だが、彼女は一筋縄では
行なかった。
「あたしは度胸の有る男が好きなのさ。そう、敵の船を一番でっかい船を一人で沈めちゃうよう
な、あんたらに其れが出来る?」

大きな胸を突き出し、見事の啖呵を切って見せた。
「ライオン」なら彼女の出した条件に十分見合う。ここで沈めないわけには行かない。

58 :各国の事情:03/05/28 15:51 ID:???
「なるほどな、後の二人に対して、お前達は有利な位置にいるわけだ。 だが、手柄を焦って、
馬鹿な真似をするなよ? 敵は対空装備を重視した艦らしい。高角砲を24基も積んでいる
らしい。それに、向こうにも空母が二杯もいる、更に場合によっちゃ基地戦闘機が飛んでくるぞ?
少しは頭を冷やしてから行くんだな。・・・サイゴンの酒場か。で、何て言う店なんだ?」
ずうずうしく聞いてくる飛行長を軽くいなすガリバルディ
「駄目駄目駄目!!!!、飛行長のようなオジンは、彼女は好みじゃないですよ」
ガリバルディは断言し、それにアヴェーロフもそれに頷いた。
「取り合えず、候補は俺、ガリバルディ。フランス野郎で大砲屋のサンソン。ドイツっぽで水雷屋の
ヴェルトの四人。だが、勝って、『サラ・メロー』をモノにするのは俺だ!!。お前やサンソンには
絶対に負けん!!」
「それはこっちの台詞だ!!お前やサンソンには絶対に負けん!!」
「おいおい、もう一人のヴェルトって奴はどうなんだ?」
「眼中になし。ですな」
またもガリバルディは断言し、アヴェーロフも頷いた。これは、これで、志気が高いと言えるので
あろうか・・・
「飛行長、いつに成ったら、「ライオン」への攻撃にいけるのですか?」

59 :山崎渉:03/05/28 15:54 ID:???
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉

60 :各国の事情:03/05/28 15:54 ID:???
「こいつは・・・・ちょっと・・・・難しいかも知れんぞ」
「何ですって?何故なんですかい、砲術長!!」
ポッシ砲術長の言葉に、サンソン・エーデンブロイ中尉は噛み付いた。発令所の砲術スタッフの
誰もが似たような気持ちだったが、サンソンの反応の速さに誰もが驚いた。
「おい、落ち着け、サンソン」
砲術長が言った
「いくらこの「ダンケルク」が31ノットの高速艦でも、追いつけないものは追いつけないんだ。
いくら射程41700mを誇る33cm砲でも、弾丸が届かないことは確かなんだ。出来ないものを
幾ら悔やんでも、時間の無駄というものだ」
砲術長は艦の作戦室にて、「ライオン」に追いつくのは難しいと言う偵察情報を得ていた。それを
砲術スタッフに伝えた途端の騒ぎだ。
「しかし、悔しいじゃありやせんか。ようやくこの『ダンケルク』がアジア最強の戦列艦だと言う事を
証明する矢先に、また空振りだなんて!!」
そうだ、そうだ、と、巻き上がった声をピエール砲術長が制した。
「悔しいのは俺だって同じだ。何度も地上の司令部には泣かされて来た。本音を言えば、ハラワタ
が煮えくり返っているんだ」
砲術長の言うとおりだった。

61 :各国の事情:03/05/28 16:02 ID:???
 彼らの乗る「ダンケルク」は、ダンケルク級のネームシップだ。「トゥーロンの悲劇」の後、ブレスト
に浮揚・回航・修理・改装され、姉妹艦ストラスブールと同等の装甲と、最新型の射撃用電探を
装備した。その実力は確かでリシュリューを痛めつけた「ロイヤル・オーク」を撃沈している。
 フランス海軍は対英開戦前はクールベ級二隻とブルターニュ級三隻、ダンケルク級が有った。
そのうち、クールベ級とブルターニュ級は1910年代竣工で砲力も弱い。1920・30年代に各艦
とも逐次近代化改装を行ったが、欧州のレベルでも一線級とは言い難い。
 それに対し、欧州で覇権を狙うドイツ海軍の挑発が有ったが、厄介なのは陸軍くらいで、海軍は
前時代の遺物の前弩級戦艦しか保有していないので、大して危機感は抱いていなかった。
 だが、ドイツがポケット戦艦『ドイッチュラント』級を竣工して自体は一変する。 戦艦並の主砲に
長大な航続能力、既存の戦艦では追いつけない速力。厄介な存在だ。

 だが、これは「好機」となった。軍予算をマジノ線や陸軍の装備に持っていかれて、小艦艇の
整備しか出来ない仏海軍にとって、いいカンフル剤となった。 世論を上手く利用したフランスは
新型戦艦の予算を獲得し、『ダンケルク』級を起工させた。だが、これで均衡が崩れた。
  当のドイツは強力な対抗艦が出現した事に驚愕した。待て、ポケット戦艦は防御力は軽巡並
だぞ、いきなり巡戦を持ち出してくる奴があるか。まずい、装甲巡洋艦では巡戦に勝てない。
 結局、ドイツは「シャルンホルスト」級を起工せざるを得なかった。いい迷惑なのはイタリアで、
大慌てで旧式戦艦四隻の近代化改装に乗り出し、更に『ヴィットリオ・ヴェネト』級を計画、起工
して対処する羽目になった。
 その後、中型戦艦の波は世界中に広がり、日本、アメリカ、ロシアが其れにならった。英国は
建艦競争に無関心を装ったが、R級の近代化よりも「レナウン」級と「フッド」級の近代化改装を
進めたのが答えだろう。

62 :各国の事情:03/05/28 16:12 ID:???
「おっと、肝心な事を言っておかなくてはならないな。まだ希望がなくなったわけではないぞ。
「ライオン」が足を引きずっているお陰でイタリア海軍が空母機動部隊を出撃させるそうだ。
連中が更に打撃を与えてくれさえいれば、こちらも追いつける。砲戦が出来るんだ。」
 大砲屋にして見れば藁にも縋るような思いだが、希望には違いない。希望は捨てなければ
見続けられるものだ。発令所内の空気が緩和された。
 ところが、そんな中に居ても浮かない顔をしているのが先ほどの中尉である。
「どうした、サンソン? 聞いていなかったのか?」
「いえ、そんな事はありません。」
「航空母艦(ポルタアヴィニヨン)の連中が信用ならないか、我が軍に比べて実績が無いのは
仕方がない。だが、こんな奴らでも活躍してくれなければ、奴らの存在意義がない。また空軍に
引き戻されたくなければ、奴らも必死になってやってくれるだろう・・・・とは思っている」
自国の機動部隊ならばまだ安心できるが、相手がイタリアなので語尾が濁る砲術長
必死。・・・・・・・・・・そう、確かにそうだろう。サンソンは飲み仲間の顔を思い浮かべた。
ガリバルディとアヴェーロフ。あいつらも死に物狂いになるだろう。こんな極東の港町にはまともな
女の居る酒場はそうはない。同じラテン系の血を持つ奴らのことだ。この時ばかりは本気になる
だろう。サイゴンで会った、『サラ・メロー』の為ならば。
 もし、あの二人が「ライオン」を沈めてしまったならば? いや、そんな事はありえない。欧州では
航空攻撃だけで戦艦が沈んだ事は一度としてない。イタリア人にできる物か。 そうだ、奴らに
出来るのは精々が俺のアシスト役くらいの物だ。「ライオン」の足を止め、俺に花を持たせる役回
りに決まっている。そういや、もう一人居たな、ドイツのヴェルトか、あいつの出番はもう無いな。
奴の居る潜水艦が「ライオン」に魚雷を当てた功績は認めるが、足の遅い潜水艦ではもう追いつ
けない。芋潜水艦は港で控えていろ
「砲術長」
はらりと態度を変えるサンソン
「『スパルヴィエロ』の連中を信用していますよ、仲間じゃないですか!」

63 :各国の事情:03/05/28 16:32 ID:???
 その酒場を先に発見したのは、ヴェルト・ケーニギン中尉だった。サイゴン港の奥でひっそりと
店を構えているのを、ドイツ人的探求力で発見したのだ。 他の三人を連れて行ったのは、ある
種の危険を悟ったのかもしれない。三ヶ月前の休暇の時に、四人はその店へと向かった。途中に
は、予想通りの障害もあったものの、店にたどり着いた途端に、そうした苦労は吹き飛んだ。その
店の看板娘の『サラ・メロー』は予想以上の上玉だったのである。
 単にグラマーで、艶やかな女ならば本国の酒場からあぶれて来たので一杯いるが、目の前の
女は無邪気な10代と近寄り難いが、それが魅力な魔法のような魅力を称えていた。
「あたしを抱きたいならば、度胸は有るんだろうね? 敵の船を、自分の力で沈めてしまうような、
あんたらにそれが出来る度胸はある?」
こういわれた瞬間に、四人は敵同士になった。
もっとも、それは表面上で、水面下でイタリア組は結託していたようだ。理由は、「枢軸派」か
「準枢軸派」かだ。イタリアはドイツと手を組んでいたが、ドイツにとってイタリアは貴重な兵站を
無駄使いする厄介者で、むしろ資源と施設を持つフランスの方が相棒にふさわしい。だが、最初
に同盟を組んでいたイタリアにはフランスとドイツがくっつくのが面白くない。
 それは、幹部同士の付き合いから下士官同士のつき会いのあいだまで及んでいた。

64 :各国の事情:03/05/28 17:20 ID:???
「シチリアの泥棒猫め、奴ら二人が水面下で手を組むならば、俺は本当に水面下で勝負して
やる」
潜水艦U−54に乗り込んでいるヴェルトは、そうやって闘志を燃やしていた。もちろん、「ライオン」
追撃戦の話は知っている。サラを振り向かせる好機だ。
 独逸東洋艦隊は、独地中海艦隊司令部から情報を受け取ると、直ちに哨戒網を展開した。
基地航空隊は言うに及ばず、通商破壊に繰り出した潜水艦隊にも、ライオン探索の指令が飛んで
いる。水上部隊も、全力出撃に近い物だった。
 ポケット戦艦「リュッツォー」重巡「ザイドリッツ」を中心とする第一グループ。前弩級艦「シュレヴィ
ヒ・ホルシュタイン」「シュレージェン」「ツェーリンゲン」を中心とする第二グループが出撃をして
いた。(第二グループがやたら旧式艦ばかりだが、砲艦と宿泊艦代わりに本国から派遣されて
来たものであり、略奪した船団の護衛として使われている)

65 :各国の事情:03/05/28 17:49 ID:???
ところが、ろくに情報の集まらない段階で第一グループは引き返されてしまう。「ライオン」の補足
が困難と判断し、第二グループをも撤退命令が飛んだが、すぐにまた「スパルヴィエロ」艦載機に
よる攻撃要請が発令された。二転三転する命令は、三軍に少なからず混乱をきたしている。
「まぁ、今に始まった事ではないがな」
発令所で海図を睨みながら、潜水艦長のブレイラウ少佐が言った。
「司令部は大鑑を大事にしすぎる。まるで硝子細工の様に。危なくなると直ぐに撤退させる、軍艦
の仕事が危険な事は当たり前なのにな(苦笑」
「まったくです、戦艦は船団が運んできた貴重な油を食いつぶし、空母だって空軍の借り物を
乗せている連中です。いつ返してくれ、と言われるか、解ったもんではないです」
ヴェルトが言った。例の三人に対する敵視は恋敵だとか、枢軸国としての派閥だけに限らない
らしい。

66 :各国の事情:03/05/28 18:06 ID:???
「自分たちは、連中とは別の線から当たってみる。多分、こちらの方が確実だが、中尉には危険
な仕事を押し付けてしまうな」
「艦長、軍艦の仕事に危険な事は・・・」
「当たり前だったな(笑」
ブレスラウはヴェルトの背中を「ポン」と、叩いた。
実際、開戦以来、ドイツ海軍で戦果と呼べる成果を着実に上げているのは潜水艦隊のみだった。
開戦時に東洋に24隻と言う多数の潜水艦を派遣したドイツ海軍は、大型艦と違ってそれらを惜し
み無く戦場に投入していたからだ。
ブラスラウ艦長の指揮する「U-54」は今年だけでも九隻の獲物を屠っており。その中には英国
巡洋艦「カヴェンディッシュ」も含まれている。10隻目の獲物が敵主力艦。それも「戦艦」と
来ればいうことはない。

67 :各国の事情:03/05/28 18:33 ID:???
「自分たちは、連中とは別の線から当たってみる。多分、こちらの方が確実だが、中尉には危険
な仕事を押し付けてしまうな」
「艦長、軍艦の仕事に危険な事は・・・」
「当たり前だったな(笑」
ブレスラウはヴェルトの背中を「ポン」と、叩いた。
実際、開戦以来、ドイツ海軍で戦果と呼べる成果を着実に上げているのは潜水艦隊のみだった。
開戦時に東洋に24隻と言う多数の潜水艦を派遣したドイツ海軍は、大型艦と違ってそれらを惜し
み無く戦場に投入していたからだ。
ブラスラウ艦長の指揮する「U-54」は今年だけでも九隻の獲物を屠っており。その中には英国
巡洋艦「カヴェンディッシュ」も含まれている。10隻目の獲物が敵主力艦。それも「戦艦」と
来ればいうことはない。

68 :やン:03/05/28 19:42 ID:???
ヒューベリオン

69 :名無し三等兵:03/05/28 20:17 ID:???
荒らすなよ軍事板の二大良小説スレッドだぞ
(両方ともマイナー艦だが)

70 :名無し三等兵:03/05/28 22:32 ID:???
>69
RNが不思議な事に芋よりも蛙よりもアルマダよりも念入りに間抜けなのが
「味」もしくは「あく」ですが。

71 :名無し三等兵:03/05/29 00:02 ID:???
これって田中芳樹の下層戦記なの?

72 :名無し三等兵:03/05/29 00:10 ID:???
>>69
もう一つって何

73 :名無し三等兵:03/05/29 02:46 ID:???
>72
「扶桑」「山城」を活躍させやがれ!【乙弐型】
ttp://hobby3.2ch.net/test/read.cgi/army/1053502823/l50

74 :名無し三等兵:03/05/29 02:52 ID:???
前スレによると
英オーストラリア・カナダVS独伊フィンランド仏露と言う鬼のような設定
日本とアメリカは傍観・・・


75 :名無し三等兵:03/05/30 17:51 ID:???
漏れも傍観…

76 :各国の事情:03/05/30 21:35 ID:???
この小説では「条約型戦艦大和」が出てきます!こうご期待!

77 :各国の事情:03/05/31 02:28 ID:???
「機影を発見! 敵機330度方向!!」
レーダー員の慌しい声が、司令塔に聞こえる。敵だ! ここはすでに大英帝国軍の制空権だ。
「急速潜行! 防水処置急げ!」
ブレスラウ艦長が叫ぶ。
 北西の空から現れたのは、珍しい複葉機だった。布張りの翼がバタバタ揺れている。恐らくは
哨戒任務を帯びた空母艦載機だろう。
 曇天を背に、爆撃機の姿がみるみるうちに大きくなってくる。まるで、死を運ぶ怪鳥の様に
 ドイツ海軍の潜水艦にレーダーを装備している物は未だ少ない。敵機に気付くのが送れ、撃沈
された同胞は数が知れない。幸い、この艦は試験的にレーダーを装備できた。水上艦に搭載され
ているものより精度は劣るが、無いよりずっとマシだ。

78 :名無し三等兵:03/05/31 02:41 ID:???
>「条約型戦艦大和」
KGXモドキの大和など全然見たくねえ。
糞第二次ロンドン条約なぞ守った日には世界中で
駄作戦艦が大量生産された悪感。

第二次ロンドン条約における戦艦建造制限
@1艦辺り35000トン以内に制限
A新型戦艦の主砲は36cm以内
以下略
どーみても創意工夫で全く補えません(w
個艦性能での優劣すら完全に否定する内容だとヘタリアでさえ
本気で激怒しかねない脅迫に満ちた条約ですが


79 :名無し三等兵:03/05/31 03:06 ID:???
>78
装甲艦枠ならば16インチまで詰める点に注意。
史実でさえ18インチを「50口径16インチ」と言い張った日本ならば
18インチ三連装二基とかを見込めると思われる。
それに、通常は燃料や弾薬の積載量を減らして吃水を浅くすれば誤魔化せるし
有事には満載排水量状態にバルジ追加してやりゃ充分

80 :名無し三等兵:03/05/31 08:40 ID:???
>79
言い張る事と現実の重量計算は全くの別物。「18in砲」1門が砲身だけで
160tもあるんですぜ。砲塔全体では3、254tが史実モードだ。それ
でいて命中弾を公算射撃で期待するには6門はお説のとうり要るんだ(ハッ
シュハッシュ式に公算で命中を期待しないならもっと少なくできるが)。兵
装重量だけでとんでもない重さにすぐになる。お説は砲塔2基であって史実
モードではない、シャルと装甲艦の砲塔の関係のような薄皮バージョンだろ
うが、もとよりその重さでは戦艦のイロハ(砲にみあった装甲)もできない
し、有事にバルジを付けるというが、施工としては比較的簡単でも数ヶ月は
どう頑張っても船渠入りで、その間に米太平洋艦隊は本土近海に来てしまう。
だいたい、まず冷静に考えてみてくれ。そんな投射弾量だけが特大の特大巡
洋艦を本土近海での迎撃作戦1本に搾った帝國海軍が必要とするだろうか?
国費の無駄使いとして艦政本部の建物の中で消滅するだろう。
もっとも外交達者の英国が欧州全て敵にまわして海洋国家群日米と組んでな
いという愚策を演じる世界なら帝國の地政学的位置付けから始まって帝國海
軍の整備方針自体が違うという話もあるがね。

81 :名無し三等兵:03/05/31 14:40 ID:???
>80
前スレッド読めよ
日本は既に対米戦やっていて、国力が疲弊している世界なんだよ(旭日旗、逝くみたいな)
しかも、海戦で帝國は金剛榛名霧島比叡扶桑山城伊勢日向長門陸奥のうち残っているのは
金剛・比叡・伊勢・長門の四隻。その代わり、米国は太平洋艦隊が壊滅してて大西洋艦隊の
一部をハワイに駐留させている状態で、米国民は余りの酷さに反戦モード。
そんな日米とどうやって英国が組めるんだ?

82 :80:03/05/31 15:52 ID:???
>81
前スレ?吹っ飛んだ時なくなったんちゃうのん。
まあそれはいい。
戦艦の数のみで海洋国家の総合戦力は測れるもんじゃないよ。少なくとも
この3国が海運の主導権をにぎり手を組まないまでも相互の背中は「とり
あえず安泰らしい」という状態なら交易路保護の手間は随分減る(WW1
とほぼ同条件で本国水域に主力を集中できる。少なくとも米のケースレッ
ドを想定しないでいいだけでもめっさありがたいぞ)。これだけでも交易
なくして一日も浮いていられない英国としてはデカい。
まして日米を頼れないなら尚の事全欧州と敵対するような愚策を外交達者
の英国がとる筈も無い(伝統的に大陸の最強国に対抗し他の強国を抱き込
み自らの海軍力とあわせてバランスを取るのがセオリーだ。唯一例外がリ
アルの今くらいのもんだ)。少なくとも離間策はとる筈。
捻るのはもちろん自由だがあまり現実と乖離すると新巻鮭になりますよ。
せめて大ちゃんレベルにもってこうよ。
あと18in装甲艦についてだが、日米とも酷い事言ってしまえば主力艦の
在庫一掃で維持費も掛からないフリーハンドの状況を得、かつさらに金が
掛かるという文脈でいうならその「歴史」だと「戦艦」が勝利を保障でき
る兵器体系で無い対抗戦力としての保険でしかない事(どちらも作戦レベ
ル以下で壊滅しただけで太平洋を挟んで対峙する戦略状況が大筋で何も変
わらない)までも証明してしまっている。という話になる訳だ。こういう
状況下ではますます18in砲装甲艦など意味が無い。

83 :名無し三等兵:03/05/31 16:11 ID:???
 えー、空気の読めない馬鹿が一匹紛れ込んでいますが、どうします?
菊水でアボンさせますか?

84 :名無し三等兵:03/05/31 16:32 ID:???
>78
>どーみても創意工夫で全く補えません(w
イギリスの新戦艦が(>43)「45口径16インチ砲三連装三基」と言うのが気に掛かる。条約を
執り行う立場の英国が条約を違反していると言う事が気に掛かる。バレたならば外交及び国際的
信用を失う行為ではないか?

国際的に「信用なら無い国家」という印象を海軍をもつ国に思れかねないと思う

>80
>もっとも外交達者の英国が欧州全て敵にまわして海洋国家群日米と組んでないという愚策

>81
>米国は太平洋艦隊が壊滅してて(略)、米国民は余りの酷さに反戦モード。
その疑問は今スレッド(>47)の
「今一、欧州戦に乗り気でない世論の為に、英国への支援を大っぴらに行えないアメリカ〜」
を読めば解る筈。
だけど、アメリカはまだ英国を見捨てていない。(>45)で
「幸い、アメリカとの裏取引によって、大巡「アラスカ」級の砲塔・砲身を秘密裏に輸入する事が
出来た。」
とあるように秘密裏に英国を支援しているようだ。そして、傀儡として亡命オランダ艦隊に残存
艦艇の一部をくれてやって戦線に送り込んだりもしている。だから君の言ったことも半分はあって
いるのだろう
 ただ、作品でいまだ日本が全く出ていないのが気に掛かる。仏印サイゴンをヴィシー・フランスと
ナチスドイツが使用している点から考えると早期講和を結んで枢軸から脱退している事も考えら
れる。その際に南洋から引き上げているのかもしれない

85 :名無し三等兵:03/05/31 17:02 ID:???
>83
やめろ、もう慶祝の時代ではない。つまらん馬鹿のために弾を無駄にするな

86 :名無し三等兵:03/05/31 18:46 ID:???
ビッグ7は史実と同様に存在するみたいだね(w

87 :名無し三等兵:03/05/31 19:08 ID:XSXoRD5+
ソ連も条約加盟国か・・・・
クロンシュタットもソビエツキー・ソユーズも条約を違反している悪寒

88 :名無し三等兵:03/05/31 19:14 ID:???
この小説って昔あった
【日独仏露】今度はイタリア抜きで行こうぜ! 第四巻【米英伊】
の続きでしょう?

89 :82:03/05/31 23:48 ID:???
>83,85
雰囲気?!
1のスレ立て趣旨からいえば「中型戦艦」に類似のまがいモノが、あくまで
まがいモノにすぎず「戦艦」にならない。そしてその戦艦の存在意義さえ「
小説」のシチュでは怪しいと切って捨てただけだ。

90 :名無し三等兵:03/06/01 00:37 ID:???
まあいまだ航空攻撃で沈んだ戦艦が存在していない世界なのだが

91 :名無し三等兵:03/06/01 10:04 ID:???
>82
>まがい物

ドレをさすんだ?スペイン海防戦艦か?英国大型船団護衛艦か?

92 :89:03/06/01 11:26 ID:???
>91
79氏提案の18in砲装甲艦の事。もっともリアルの装甲艦や超甲巡系統は
皆そうだが(装甲艦を海防戦艦的に使用する等限定的な状況下を除く)。
「小説」については戦略以上のレベルにちと「?」なところがあるよって
だけです。

93 :名無し三等兵:03/06/01 13:43 ID:???
これは、つぶクリ先生のご指示です。
 371 名前: つぶクリ 投稿日: 01/09/05 19:56 ID:6u3Sw0.c
 残念ながら今の気力では、
 10行読むのがやっとですので、みなさんすいませんが
 10行以内でよろしくお願いします。

94 :名無し三等兵:03/06/01 15:45 ID:???
>>93
誤爆?

初めはしっかり節約せんとまた勤務医に逆戻りだぞ。
コンサルに勧められて変なモン買うなよ。
人手が足りなきゃカミさんを使え、カミさんを。
・・・と一応マジレスしてみる。

95 :名無し三等兵:03/06/02 07:50 ID:???
yamatoha「最小の船体に最大の主砲を」dana

96 :名無し三等兵:03/06/02 22:57 ID:???
米国の条約型装甲艦もレキシントンの考えを受け継いだ
「50口径16インチ3連装砲塔二基」「速力34ノット」の艦だしな

前スレッドではお互いに14インチ砲戦艦と門数の足りない16インチ艦の激突で決定打が
ないままに潰しあいになって戦艦アボーン
空母も条約の絡みで二万トンサイズので、航空攻撃でダブルノックアウト。残存艦艇も日水雷戦隊と
米条約型巡洋艦隊が熾烈な潰し合いをやってアボーンで、双方司令官と参謀もアボーン

今の聯合艦隊司令長官が豊田で、向こうの司令長官がリーと言う点が凄まじいな(w

97 :各国の事情:03/06/03 13:07 ID:???
「機影を発見! 敵機330度方向!!」
レーダー員の慌しい声が、司令塔に聞こえる。敵だ! ここはすでに大英帝国軍の制空権だ。
「急速潜行! 防水処置急げ!」
ブレスラウ艦長が叫ぶ。
 北西の空から現れたのは、珍しい複葉機だった。布張りの翼がバタバタ揺れている。恐らくは
哨戒任務を帯びた空母艦載機だろう。
 曇天を背に、爆撃機の姿がみるみるうちに大きくなってくる。まるで、死を運ぶ怪鳥の様に
 ドイツ海軍の潜水艦にレーダーを装備している物は未だ少ない。敵機に気付くのが送れ、撃沈
された同胞は数が知れない。幸い、この艦は試験的にレーダーを装備できた。水上艦に搭載され
ているものより精度は劣るが、無いよりずっとマシだ。

98 :名無し三等兵:03/06/03 15:15 ID:???
英国人もヘタレだ。・・・

昭和17年5月 英国本国艦隊が北氷洋船団の護衛中に戦艦キングジョージX世が
          駆逐艦バンシャビに衝突。バンシャビは真っ二つに折れて沈んでしまう。
          その上、後続していた戦艦ワシントンが衝突現場を乗り切ろうとした時、
          水中でバンシャビの爆雷が爆発。
          ワシントンは死傷者はでなかったけれど、その衝撃で・・・
          ・主砲の射撃方位盤と砲塔の測距儀がすべて狂う
          ・はずみでモーターが動きだしてブレーカーが落ちる
          ・捜索用レーダーと三つの射撃指揮用レーダーが使用不能
          なんていう珍被害が発生した。

99 :名無し三等兵:03/06/04 09:43 ID:???
>98
まあ、戦術レベル以下の過誤なんかどこの国も腐るほどあるけどね。
同じような衝突話なら最上に衝突グセがあった事はよく知られた話(生涯2度
も同格艦に当たってる)。独逸ではライプツィヒとPオイゲンが衝突したりし
てます。
しかも後者なんか「イ」の字のような居置関係でライプツィヒのどてっ腹にモ
ロに艦首を突き刺して竜骨をへし折ってる(当然以後作戦不能)。
戦術レベルでの過誤まで含めるなら独逸はシャルンホルストが護衛の駆逐艦部
隊とはぐれたままみすみす孤立無援の体で戦闘、喪失という珍被害が発生して
ます。

100 :名無し三等兵:03/06/05 14:59 ID:???
良スレ保守

101 :各国の事情:03/06/07 19:46 ID:???
 防水が確認されると、「U-54」はベントを開いて潜行を始める。海水の流れる音が司令塔に響き
、動力は既に電気推進に切り替わっており、全力稼動中だ。
「深度10メートル、20メートル・・・・」
 震度計の針がじりじりと回る。相手が飛行機だと、魚雷を撃って反撃するわけにも行かない。
去ってくれるのをじっと待つしかない。
「艦長、いざとなれば『荷物』は捨ててもらっても構いませんが」
「心にも無い事を言うな、大丈夫。俺のカンならすぐに居なくなる。終ったらさっさとずらかろうじゃ
ないか」
 ブレスラウは今度は、ヴェルトの背中に手型がつくほどの力で背中を叩いた。
危険と隣り合わせ、船底一枚、その下は地獄。同時にそれは潜水艦乗りの誇りだった。
「着水音を確認」
聴音手が報告する。怪物の咆哮のような音が聞こえてきた。爆撃機が投下した対潜爆弾の炸裂
音だ。水中爆発の不気味な振動が船体を揺さぶる。ヴェルトはじっと息を殺して待った。

102 :各国の事情:03/06/09 22:06 ID:???
「RDFはまだ回復しないのか?」
ベンボー司令が苛立ちながら叫んだ
「はっ、後少々で・・・・・・・・・・・25分以内には完了するものと・・・・・・・・」
エドワード・グロッグ艦長もまた、苛立たしい声で答える
「それまでは周囲の見張りを厳戒に、特に対空監視を怠るな。いつ、何時にフランスの爆撃機
が襲来するか解らんからな」
ベンボーは念を押した。もちろん、そうした司令は三十分前に艦長が下したのだが・・・、乗員達は
前夜からのダメコンで疲れ果てている。集中力の途切れた時が一番怖い。せめて、電探が回復
すれば少しは乗員の負担が軽減するのだが・・・。
 グロッグ達を憔悴させているのは、時折傍受できる枢軸軍の通信だった。イタリア海軍やフラ
ンス海軍をけしかけて、この「ライオン」を追わせているらしい。
 巧緻に長けた独逸軍のことだ、単純なイタリア軍上層部や威信回復を望むフランス海軍は
競って付けねらう事だろう。
 それとも、わざと解読できるような欺瞞情報をながしているのか? 平文はともかくとして、解読
できる文章が3/5にも達するのが気に掛かる。それでも、追っ手の中にフランス海軍の
「ダンケルク」、ドイツの「リュッツォー」+前弩級艦四隻が混じっているのが気に掛かる、今の
「ライオン」は12インチ九門。13インチ8門と11インチ6門+16門を擁する敵艦隊に劣勢を強じ
られている。

103 :各国の事情:03/06/10 13:43 ID:???
ベンボーは窓の向こうを、ぐるりと目を向けた。冬の海原に僚艦たちが波頭を切っている。軽巡
「ダイドー」「エメラルド」 駆逐艦「エクスプレス」「エレクトラ」「エンカウンター」。 対潜警戒の
「のの字航行」をしている駆逐艦群、昨日の戦いに生き残った艦らだが、「ライオン」同様に被弾し
傷付いているものが殆どだった。巡洋艦が搭載している電探は信頼性に乏しい旧式で、最新型を
搭載している「ライオン」の物が故障しているのが正直、痛い。
「追っ手の中に本当に仏海軍の「ダンケルク」が居ると思うかね?艦長?」
「違う索敵海域の情報を故意に流すというのは考えられなくも無いですが、「ダンケルク」に関して
は欺瞞の必要もないかと思われます。追っ手が「ダンケルク」であろうと無かろうと、今の我々の
選択肢はシンガポールに帰還するしかないのですから」
「それはそうだ」
「ほかの可能性としては、「ダンケルク」の名を強調する事によって本艦を振り向かせようとして
いるのかもしれません。それにより逃げた場合は「英海軍恐れに足らず」として貴下植民地での
奴らの宣伝材料となってしまいます。」
「私はウグー中将とは違うよ」
ベンボー司令は吐き捨てるように言った
故人を悪く言う気は無いが、半年前に戦艦 レゾリューションを指揮していたウグー中将は戦闘
指揮官として無能だった。 レヴェンジ級の姉妹艦で、輸送船団を率いていたレゾリューションを
女王陛下より預かっておきながら、ビスケー湾沖の戦いから戻ってくる事は無かった。せめてもの
救いは、別行動にしていた船団が無事に帰港出来た事だが、それは残りの士官の優秀性を示す
だけの物であって、ウグーの中将の有能さを示した物ではない。

104 :各国の事情:03/06/11 20:36 ID:???
「ベアルン」を沈めようと、護衛の旧式巡洋艦と護衛の駆逐艦と共に突っ込みすぎたために、
「ベアルン」から飛来した雷撃機隊により雷撃され、一時的に行動不能になってしまった。 
その結果、足の遅い残存輸送船団がスペイン艦隊により壊滅させられ、その汚名を注ごうと
躍起となってスペイン艦隊を追いまわし、独仏通商破壊艦隊の包囲網に入り込んで撃沈させ
られてしまった。
WW1型の戦艦では、最新鋭のクレマンソーや改ダンケルク級、シャルンホルスト級に集団で
撃たれてはたまるまい。

「今は敵と戦うときではない。艦長は一戦交えてみたいかね?」
「性能面で引けをとるとは思えませんが、昨日のダメージが残っております。乗員達の疲労もあり
ますし、提督の決断に意義はありません。」
「あちがとう、エドワード艦長。 ・・・・・・・・・・決断か、私はウグー中将のことを悪くはいえないかも
しれない」

ベンボーは、もう一度、並走する僚艦に目をやった。「エメラルド」の第一砲塔のあった場所には
スクラップが乗っていた。弾火薬庫に注水したお陰で誘爆は免れたが、吃水が下がり、足は遅く
なっている。「ライオン」も艦首に飲み込んだ海水のお陰で舵の効きが悪い。機動力の低下は
電探の損傷よりも深刻といえた。
「被った損害の割には、戦果は皆無だ。ましてや独船団壊滅という目的は果たせなかった。今回
の襲撃は大失敗だな」
「ひとつやふたつの負け戦を気にしては、戦争などは出来ません。」
「私は失敗と言ったのであって、敗北を認めたわけではないよ。 いかんな、ウグーの霊にでも
取り憑かれたか」
心霊主義者の様な事を行って、苦笑いをするベンボー中将。

105 :各国の事情:03/06/14 18:00 ID:???
インド洋での戦いは基本的に英国の輸送船団を壊滅か拿捕し、奪った物資を本国へ送る事への
繰り返しである。その為、互いに足の引っ張り合いをする事になる。当然、輸送船団の規模やスケ
ジュールは伏せられるのだが、逆にわざと情報を流して敵を誘い出すと言う手もある。
 こうした作戦が成功した例を挙げれば、もっとも多く語られるのは46年後半に生起したオラン沖
海戦であり、その立役者となったルミラ・ディプレ中将であろう。中将は高速戦艦 「ダンケルク」
に将旗をかかげ、三隻の戦艦を伴って、誘い出されて来た英地中海艦隊と交戦した。この戦いで
ダンケルクは巡洋戦艦レナウンを射距離3万から初弾夾叉・撃沈して各国の注目を浴びた。
勝因として水中から英艦隊を翻弄した独逸のU−ボートや、肉薄し魚雷を叩き込んでくる伊の
水雷艇の存在(ウォースパイトに距離500mから魚雷を叩き込んだ猛者も居る)もあるが、やはり
ディプレ中将の作戦立案能力による所が大きい。英仏両軍の海上兵力を比べてみると、質的に
は互角だが、量では英海軍が有利であることは明らかである。その点が英側の慢心に繋がり、
足元を掬われる事と成った。仏側がこの一点に戦力を集中してくる事が考えられなかったのだ。

 今回は別のパターンだ、シンガポールへのタンカー護衛を終えたライオンは、現地で新たな
作戦命令を受けた。仏印へ向かう輸送船団を攻撃せよ、と言う物だった。仏印に配備される
新型小型戦車を載せていると言う。
 ベンボー中将は危険を嗅ぎ取ったが、本国からの命令には従うより無かった。

106 :名無し三等兵:03/06/14 22:52 ID:???
良スレ期待age


107 :名無し三等兵:03/06/17 17:14 ID:???
この世界ではソ連の対独戦が無いから、ソビエツキー・ソユーズが普通に竣工しそうだ

108 :各国の事情:03/06/17 17:18 ID:???
地中海と違って、未だインド洋では陸上兵力による対決は行われていない。だから、こちらでは
前世紀の遺物と言うべきインディペンデンス重戦車と言う物も配備されていたりするが、仏印に
いる諜報員からの報告では、独逸の四号戦車や仏のシャールD1Bis(四号戦車ノックダウン生産
版)が少数だがドイツ−ソ連−サイゴン経由で続々と配備されており、着々と陸上戦力で押され
つつある。もし、奴らが強化された陸上戦力に物を言わせてタイを落とし、陸伝いにシンガポールに攻め込んでこられたら、弱体な陸軍では到底防ぎきれまい。だからこれ以上奴らを強化させ
ないためにも危険を顧みずに向かわなければ成らなかったのだ。
 ベンボー中将は、東洋艦隊の主力から余裕のある戦力を率いて北進。空襲の心配が無いように
深夜、突入を試みた。戦艦「ライオン」の他に重巡「エクゼター」「コーンウォール」「ドーセットシャー」防空軽巡「ダイドー」駆逐艦「エメラルド」「エクスプレス」「エレクトラ」「エンカウンター」の
合計9隻の有力な艦隊である。装甲艦が一隻と巡洋戦艦が一隻しかない独東洋艦隊など、一蹴
できうるだろう。と、思われていたのだが、悪い予感はやはり的中する。
ドイツ・イタリア・フランス艦隊が待ち受けていた。リンガ泊地で停泊中のライオンを、現地人の
スパイが独東洋諜報部に通報されていたのだ。儀装網くらいで大艦を隠すことは出来なかった
のだ。第一次ライン演習時の仇を取る機会をドイツ海軍は待っていたのである。

109 :各国の事情:03/06/17 17:31 ID:???
>107さん
>ソビエツキー・ソユーズが普通に竣工しそうだ
 史実の通りの「普通に」は残念ながらこの小説ではありえないです。
「>2」でソ連も東京条約締結に参加していますので、戦艦は14インチ艦になってしまいます。
ちなみに史実よりもイタリアとの結びつきの高いソ連はガングート級の近代化改装をイタリアに
頼みます。イタリアは「コンテ・ディ・カブール級」「アンドレア・ドリア級」での改装実績が有るので
二つ返事で了承し、代金として石油と鉄鋼を得ています。その為に満足できる海軍活動が出来る
のは別の話・・・
 ソビエツキー・ソユーズは14インチ砲3万5千トン戦艦として竣工しますが、主砲としての
16インチのテストヘッドとしてシェイプアップされた船体を持つクロンシュタット級を選びます。
ちなみにこの時代のソ連はスターリンが外洋艦隊を望んだ為に資材と人材が海軍よりに行き
渡った結果。史実よりも機甲兵力が減衰しております。
 多分、ドイツと袂を違えば冬将軍を待つ事無く首都が陥落するでしょう(爆)

110 :各国の事情:03/06/17 17:55 ID:???
スターリンは悩んでいました。彼の配下であるソ連軍は陸戦では欧州の大国フランスにも互角
以上に戦える世界最大最強クラスの軍隊を保有した居ましたが、海上兵力では大きく見劣りが
しました。原因は解っています。日露戦争にてバルチック艦隊が日本の聯合艦隊に敗れたため
に海軍は零落の一途を辿り、更に追い討ちをかけるように帝国主義崩壊に伴う革命で優秀な
海軍軍人が国から、あるいはこの世から去ってしまったです。彼が今の座を確保するのに邪魔
だった人間を粛清した時に多くの経験豊富な海軍軍人が含まれていたからです。今残っているの
は内陸部に左遷された者や海外に駐留していた者ばかりで、どちらも長く海に出ていなかった
海軍軍人として半人前ばかりです。
国家としてこの先、海洋国家である英日と資本主義の権化アメリカと覇権を競う事になれば強力
な海軍は必要です、となると陸軍の強化は一先ず置いておいて、海洋戦力強化を最優先にして
置く事が必要なってくる。海軍にはあまり造詣の深くないスターリンではあったが、既存の海軍
だけで世界に名立たる英日米の海軍に勝てるとも思えなかったのです。
 当ては、ありました。かなり旧式とは言え、接収した旧露西亜帝国の戦艦を始めとする少なく
ない軍艦はありましたし、数次に渡る五ヵ年計画で重工業化も開花し始めています。民間に資本
を投入し、革命的労働者の力を持ってすれば決して不可能では無いでしょう。
 スターリンが海軍の強化を推し進めたの理由が有ります。先の海軍条約締結の折に英米が
自国らが有利になるように条約を改正しようとしていたのです。他国の軍艦保有枠を1/2に固定
し、海軍力では対抗不能にする為でした。幸い、試案が日仏伊にリークし、条約決裂為の裏交渉
をイタリアが持ちかけ、フランスと共に乗った為に資本主義者と帝國主義者の悪意から海軍を
救えましたが、そんな幸運が何度も通用するわけがありません。やはり、ここは自分たちの力で
解決する必要があったのです。
「我れらがソ連軍に新世代の戦艦を造り、帝國主義者の海軍を一蹴できうる海軍を付くなら無け
ればならない!!」

111 :つづきを書いてみる:03/06/17 18:19 ID:???
ここは「記念艦 やまと」スレッドの姉妹スレですか?

 かくして明けて1935年冬、ソ連海軍大増強計画がスターリンの鶴の一声によって開始された。
中小艦艇の大規模な増強及び新型戦艦の建造など、多岐にわたる建艦計画がスタートしたの
だ。当初の目的は「ソビエツキー・ソユーズ」級戦艦を5隻、「クロンシュタット」級大型巡洋艦を
16隻を目標としていた。その他にもかつて接収した旧ロシア帝国艦の近代化改装等が盛り込ま
れていた。1935年と言えば、東京条約の戦艦代艦規定より日英米が代艦建造を開始した年
である。ある海軍関係者によるとスターリンは日英米三国の代艦建造に触発された、という噂
まであった。(海学社 「世界の戦艦 5月号 ソ連/東部ロシア帝国戦艦の100年」より)

112 :各国の事情:03/06/17 18:23 ID:???
 投入された艦艇は次の通りである。
超弩級艦
「ダンケルク」「コンテ・ディ・カブール」
前弩級艦
「シュレヴィヒ・ホルシュタイン」「シュレージェン」「ツェーリンゲン」
装甲艦
「リュッツォー」
重巡
「ザイドリッツ」「シュフラン」「コルベール」「デュプレ」「ザラ」「フゥーメ」
軽巡
「エムデン」「ケーニヒスブルグ」「エミール・ベルタン」「ラ・ガリソニエール」
「ルイジ・ディ・サヴォイア・デュカ・デグリ・アブリッチ」「ライモンド・モンテクッコリ」
駆逐艦
14隻(護衛駆逐艦・大型駆逐艦含む)
 艦隊に前弩級艦が入っているのは、練習艦であった「ホルシュタイン」と海防戦艦兼護衛艦隊
所属であった「シュレージェン」「ツェーリンゲン」を独東洋艦隊が本国に無理を言ってかき集めた
ためだ。(実際は物資を引き取りに来た護衛艦隊を無理やりに編入させた物だった。)
護衛駆逐艦は船団護衛用の簡素な装備と充実した対潜装備を施した低速の駆逐艦である。
大型は伊仏が巡洋艦の補助戦力として整備した排水量2000トン前後の駆逐艦で、砲力と
雷装、凌波性で他国の駆逐艦の性能で凌駕していた。

113 :名無し三等兵:03/06/17 21:15 ID:???
・・・・
まあ、下層戦記とはいえ、

タダだ

114 :名無し三等兵:03/06/17 21:31 ID:???
>113
たまに作者以外の人が書いているのに律儀にあわせて書いてくれると言う・・・
いい人だ・・・
 お前は作者とネタ荒らしの区別はついているよな?

115 :名無し三等兵:03/06/17 22:12 ID:???
スターリンのOVERは2スレ目の>>1だな。
第二次聯合艦隊VSバルチック艦隊の燃える話を書いてくれた人。
再UPキボンヌ

116 :名無し三等兵:03/06/18 01:25 ID:???
>>114
いや
全然w

117 :名無し三等兵:03/06/18 11:35 ID:???
荒らしは放置

118 :名無し三等兵:03/06/20 16:11 ID:Z3efGa9A
荒らしは放置にしてレス不が基本

119 :各国の事情:03/06/22 18:57 ID:???
 のちに「サイゴン沖海戦」と呼ばれたこの戦いは、立ち上がりから枢軸側に有利だった。
戦艦が5対1、11インチ18門+12.5インチ10門+13インチ8門に対し、英国側は12インチ
9門(枢軸側にはまだ16インチ9門と思われていた)と言うハード的優位に加えて基地戦闘機に
よる弾着確認というソフト的な優位にも立っていたからだ。
 ライオンも射撃管制レーダーを備えているが、この時点で電探が不調で、本来の性能を出し
切れて居なかった。その為、この海戦では結果として現れた。独仏戦艦が射距離3万から射撃
開始するまで、イギリス側は枢軸艦隊を発見できていなかったのである。たちまちのうちに露払い
を務めていた「ケント」が炎上し、旗艦「ライオン」も水中に包まれた。枢軸艦隊の攻撃は熾烈を
極め、巡洋艦と駆逐艦は雷撃を仕掛けてきた。英国艦隊は崩壊してもおかしくはなかったが、
そうはならなかった。
 ベンボー中将の冷静かつ的確な指揮ぶりと、「ライオン」の轟陣な防御力による所が大きい。
もしも旗艦が最初の一撃で指揮不能になっていたり、戦闘不能になっていれば英国東洋艦隊の
命運はそこで終わりになっていたはずである。だが、「ライオン」が浮いていたからこそ、「高速
列車が鉄橋を通過するような雄叫び」の様な音を出して降り注ぐ砲弾の雨の中、ベンボーは落ち
着いて『撤収』命令を出す事が出来た。彼は「レゾリューション」の指揮官のために自分のプライド
の為に傷を広げるような事はしなかったのだ。

120 :名無し三等兵:03/06/24 02:58 ID:???
金剛級代艦が大和級を名乗る世にも珍しい小説

121 :名無し三等兵:03/06/24 15:23 ID:???
 そうした指揮官の意をくんだのか、英国海軍士官の冷静な仕事振りは見事なものだった。
敵の巨弾が降り注ぐ中を、追射しつつ後退。沈没しつつある「ケント」を陰に駆逐艦が素早く
横付けし、乗員を救出しつつ敵軽巡に対し追射して牽制すると言う「離れ業」を行い、撤収を
無事に完了させたのである。
 賞賛に値する。実際、戦後に発刊された第二次大戦海戦記の多くがこの「サイゴン沖海戦」に
頁を割いているのだ。
 結局、「サイゴン沖海戦」で沈没した英国艦は重巡「ケント」、駆逐艦「ミストラル」「ミレイユ」
の三隻のみで、枢軸側は重巡「ザイドリッツ」が左舷後部に駆逐艦の雷撃を喰らって大量浸水、
中破と言う有様だった。(偶然に艦尾の接合部に命中)
 朝日と共に終結した枢軸艦隊は、あまりの戦果の少なさに驚愕した。
 だが、「ライオン」を始めとする英国艦の無数のダメージを帯びている事は確かである。
 枢軸艦隊司令ハンス・ノルトマン中将は、直ちに追撃を命じた。ドイツ海軍の狡猾さとヴィシー
フランス海軍の恨みの深さには定評がある。仏基地航空隊の航空機を総動員させ、U−ボート
による哨戒網を強化させた。ついには訓練中だったイタリア空母「アクィラ」までも動かした。
 死地を脱したかに見える英国艦隊だが、枢軸軍の魔の手からはまだ逃れられたわけでは
なかった。

122 :条約型戦艦大和:03/06/26 02:11 ID:???
ttp://www.warbirds.jp/kakuki/kyosaku/18kan/kongoukai.htm
に、近いイメージと思われる

123 :各国の事情:03/06/26 15:20 ID:???
「主砲は9門共に使用可能か。・・・・・・だが、今のこの艦は戦闘できる状態ではないな・・・今は
『逃げの一手』に徹するほかあるまい」
修理状況を知らせる報告を受けたあと、ベンボー中将はそう呟いた。
「まったくですな」
エドワード・グロッグ艦長が溜息をついた。
 対16インチ用の装甲を被せられた「ライオン」は先程の海戦で喰らった無数の砲弾の多くを
ことごとく弾き返したが、「ダンケルク」か「リュッツォー」のどちらかは知れないが、中距離から
放たれた砲弾が一旦、艦の手前に着弾し、驚くべき事に水中を魚雷のように進み、水中のバルジ
を突き破って機関区にダメージを負わせたのだ。(戦記では「悪夢の一弾」「ビスマルクの怨念」
「黒い悪魔」と、紹介されている) そのため、速力は24ノットまで落ちた上に、振動で射撃管制用
電探が故障し、独仏に比べ性能の劣る測距儀による光学砲撃に切り替えなければならなかった。
艦の水上部に厚い装甲を張り巡らした代償として、対水雷防御は御世辞にも優れた物とは
言えず、ネルソン級に比べれば進化したと言っても、中々に設計どおりの防御力は発揮してくれ
なかった。
「もっとも、そのおかげで対艦防御能力は卓越した物となっておりますが、それでも痛し痒しと
言ったところですな」
艦政本部もその点を考え直しているようだ。現在建造中のライオン級の第二番艦「サンダラー」は
同設計だが、第二グループは舷側装甲を若干減じて、艦の幅を増やし、速力を犠牲にして対水雷
防御をより強固な物になるらしい。こうなると同型艦とは呼べない新型艦である。


124 :名無し三等兵:03/06/28 14:37 ID:lc03Jwwm
期待age

125 :各国の事情:03/06/28 15:55 ID:???
「後から追ってくる敵か・・・」
ベンボーは指で海図をなぞる指を止めた。このまま何事も無く、セレター軍港に逃げ込めれば
万歳だ。しかし、このままやられっぱなしでは『見敵必殺(サーチ・アンド・デストロイ)』を必定
とする英国海軍の名に恥じる気がする、それに、一手をしかける余地も有りそうだ。
「『ダンケルク』を我が制空権下におびき寄せるわけですか。乗ってくるでしょうか?意外と彼らは
大胆かつ、慎重ですが?」
「立ち往生しているように見せかける。それでも乗ってこなければ諦めるまでだ。上手くすれば
怠慢な空軍の艦載機つきで帰れる。奴らもキング・ジョージ五世の時には絞られたからな・・・
 それに、『居候』も使おう。貴重な資材をただでくれてやっているわけでもないのでね。」
PoWが東洋艦隊に編入された当時、空軍は護衛するはずだったが、たどり着いた
時には独伊攻撃隊により海中に没した戦艦を探す羽目になり、英国首相直々の叱咤を受ける
事になった。(「私の生涯に置いて、これほど無能な空軍は見た事が無い」)
ちょっとした思い付きのつもりだったが、それはベンボー自身にも思いもよらない展開を齎した。
 あと、『もう二息』で英勢力下に達する地点で、「ライオン」は待ち構えた。将兵たちも一丸と
なって、前夜の借りを帰そうと、意気込んでいた
「対水上・対空監視電波探信機。復帰いたしました!」
テレトークによる報告が入ると、ライオンの艦橋が沸いた。が、長くはつづなかった。
「接近中の編隊を確認! 二方向からやってきます。方位は・・・」
「たしかに治ったようだな・・・」(−□卅;) 
突然に入った報告に、ベンボーは空を見上げた。
「釜の圧力を上げろ! 総員、対空戦闘配置!急げ!」

126 :名無し三等兵:03/06/28 15:58 ID:lc03Jwwm
スパルヴィエロ艦載機キター

===========(  ゚∀゚ )============!!!

127 :各国の事情:03/07/01 18:11 ID:???
メディタレニアン・ブルーと呼ばれる地中海独特の青には敵わないが、インド洋の海も悪くは
無い。これが哨戒中ならばピクニック気分の彼らだが、じっと海面を見詰めていたガリバルディ
中尉は、ついに目指す目標を見つけた。
「二時の方向に戦艦のマストを発見!」
興奮を抑えきれない声だ。ガリバルディの報告を聞いた編隊各機は、機首をそちらに向けた。
訓練の時には見せなかった機敏な動き。皆、ガリバルディと同じ気持ちなのだ。
 近づくに連れ。輸送船や標的艦などではない、軍艦独特な艦影がはっきりしてきた。巨大な
箱型艦橋と舷側にズラリと並べられた対空火器。見間違えようの無い、「ライオン」だ!
 索敵機からの情報を元に、母艦「スパルヴィエロ」を発艦しておよそ30分。なんとか目標に
たどりついたようだ。第一関門突破に、ガリバルディはほっと胸をなでおろした。
イギリスもそうだが、空軍が設立されると飛行機に関する運用権はすべて空軍に移管されて
しまう。洋上偵察に使用される機体さえも空軍の管理下におかれ、海軍にとって不都合極まり
ない。 航空母艦を持つイギリスでもそうなのだから、母艦の持たないイタリアでは更に深刻で
あった。
(20年間の暗黒の時期を経た後、艦隊航空隊を復活させ、自分達の翼を取り戻した。だが、その
間のツケは大きく、現在も艦載機の調達には苦労している。)

128 :名無し三等兵:03/07/01 21:07 ID:???
艦隊上空に到達できただけでも上出来ですな。それに艦種を間違えずに個艦まで
認識できた事も(つか触接機が優秀なのですかね)。日米英海軍でさえ難しい事
なのだが。
イタリア海空軍の連携、運用能力からいえば、「ほっと胸をなでおろす」をおお
いに既に超えてる訳だが。

129 :各国の事情:03/07/02 16:21 ID:???
B・ムッソリーニの後押しを受けた空軍は、独自に海洋航空部隊を持ち、それは偵察部隊、爆撃
部隊、戦闘機部隊の三つに分かれて編成されていた。地中海に長く伸びた半島と言う地理的
条件により、長らく基地航空隊で充分とムッソリーニは考えられていたが、指揮系統の違う地上
基地からの運用では解決できない問題があり、肝心なときに間に合わない事が多い。何年にも
わたる協議の結果、イタリア海軍は艦船搭載の水上偵察機と地上の偵察部隊の指揮権を得る
事が出来た。そして、航空母艦(ポルタエーレイ)「アクィラ」「スパルヴィエロ」の就役にあわ
せて、ようやく艦載機の調達にも成功したのである。
 したがって、ガリバルディ中尉たちも元は地上基地勤務出身であるが、海洋航空部隊勤務
だったので、洋上航法そのものには自信があるが、動かない地上基地と揺れつつ走る洋上基地
からの発進には大きな違いが有り、会敵できるか不安があったのだが、その不安も一掃できた。
 「ライオン」は見るからに韜晦行動は取っていない所を見ると、わが軍の索敵機には気付いて
いなかったと見える。恐らく、電探にダメージを受けていたのだろう。
「よし、これでサラの唇はいただきだ」
「そうは簡単にいくか、15度方向、上方に敵機だ」
つけっ放しだった無線機からアヴェーロフ中尉からの肉声が流れてきた

130 :************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************各国の事情:03/07/08 13:42 ID:???
「貴様、アヴェーロフ! 寝言もいい加減にしろ、15度だと?」
確かに幾つもの機影が近づいてくる。二十機はいそうだ
「どうせ、フルマーだろう」
位置的に考えて、イギリス空軍の短発攻撃機だろう。だが、予想を裏切られたのは以外にも、
最初に気付いた英国側だった
「デファイアントだと!!!空軍の連中は何を考えているのだ!!!!」
叫ぶベンボー中将。無理も無い、ボールトンボール・デファイアント戦闘機は名こそ戦闘機だが、
主な武装は背面に付けられた7.7mm四連装動力機銃塔だけだった。英国空軍の新戦術構想
において、『戦闘機に動力旋回銃座を搭載することで操縦士は操縦に専念でき、また前方固定
火器よりも広い射角を持つため攻撃・防御両方に使用できる』といった着想により前面機銃は
取り付けられなかったと言う曰くつきの欠陥機だ。(流石に実戦で使用するにはあんまりなので
現地改良で翼面下に7.7mm単装機銃を二丁追加している)
それと、フルマー副座戦闘機も六機ばかり付随しているが、焼け石に水であろう事は容易に想像
できた。
「戦闘機隊に告げよ、『当艦は独自に対空砲火を打ち上げるので、射程距離に入らぬように
戦え』」と、あの旧式機では逆に撃墜しかねん」
額の汗をぬぎつつ、支持を出すベンボー

131 :名無し三等兵:03/07/08 13:48 ID:hapvOWF1
落ちているので上げ

132 :各国の事情:03/07/11 21:53 ID:???
イタリア戦闘雷撃機隊も思わぬ敵の弱体から落ち着いて指示を出す
「各隊、攻撃態勢に移れ。いいか、獲物を下ろしたら速やかに上昇に転じて味方のフォローに
回れ、一人二役だ。忘れるなよ」
攻撃隊長の声を聞いて、ガリバルディは舌を出した
「いけねぇ、いけねぇ、獲物を忘れていた」
今回、「スパルヴィエロ」を発艦した二十機は全て最新鋭のフィアットG55Sだ。フィアットG55S
はフィアットG50の性能向上型である。最高速度は630kmを記録し、なおかつ旋回性能も高く
バトル・オブ・マルタに参加したG55は数多くのスピットファイアを地中海に落とした。
S型はそのG55の機体強度と速度に注目した軍が重量930kgの魚雷を抱けるようにした、その
艦上雷撃機型である。
 戦闘機を雷撃機の代用をさせる事により、欧州空母共通の弱点である「艦載機の数が少ない」
と言う欠点を補う事が出来た。
「とは言え、重い獲物を抱いた状態ではフルマーやデファイアントでさえ厄介だ。ここは早い者
勝ちだな」
敵機との遭遇の可能性が低い事、いざとなれば魚雷を捨てて戦闘機に早変わりできる事から、
二十機で雷装していないのはたった二機である。この二機が副座戦闘機を抑えている間に
攻撃を済ませる必要がある。

133 :山崎 渉:03/07/12 16:39 ID:???

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄

134 :山崎 渉:03/07/15 12:01 ID:???

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄

135 :各国の事情:03/07/15 20:35 ID:???
 列機にバンクサインを送って、スロットルを引くガリバルディ。ところが、考える事は皆一緒で、
攻撃隊はいっせいに高度を落として英国戦艦に群がっていく。
 いかに魚雷を落とせば無敵状態になれると入っても、雷撃直後は無防備状態に近い。上空
から覆い被されれば高速機のG55Sでも振り切れない。それを解っているからこそ、皆が皆、
攻撃を急いでいた。
 最も、別の不純な動機から突進していく物も二名ほど居たのだが。
「ガリバルディ! 手前ェ!ゴルァ!! チームワークと言う物を知らねーのか!」
「知るか! 早い者勝ちだォルァ!アヴェーロフ!」
 「ライオン」から対空砲火が上がってきた。
「ライオン」を中心に輪形陣を組んだダイドー級巡洋艦や駆逐艦が一斉に対空砲火を撃ち上げて
くる。13センチ連装両用砲弾やポンポン砲が火を噴き、舞い降りてくるイタリア機の間で炸裂
する。
「砲術長、対空要員は何しているのだ、雷撃態勢に入っている機があるではないか!」
叫ぶベンボー中将。しかし、砲術長は余裕を持って答える。


136 :名無し三等兵:03/07/15 21:08 ID:???
英国海軍、まだ

 余 裕 だ な 

137 :名無し三等兵:03/07/16 04:42 ID:???
G55Sは単座だから機体操作と照準を同時にこなさないといけない罠

138 :各国の事情:03/07/16 17:10 ID:???
「ご心配には及びません!。雷撃は回避できますし、その間にのろまの雷撃機も落とします」
「しかし、敵は我が国のアルバコアよりも優速だぞ」
「新兵器があるのです!」
自信満々に答える砲術長。そして、部下に伝声管で命令する
「UP ファイア!!」
箱型の射出機から一基辺り9個の筒状のロケット弾が発射される。それは雷撃機の頭上で
炸裂。パラシュートを尾部に付けた筒状の物がバラ撒かれる。
「UP−−−Unrotated Projectileです。中将閣下」
「空中機雷・・・・? 対雷撃機用の爆雷か?」
「面白い試みだが、エドワード艦長。こいつは当らないぞ」
「えっ」
UPが完全に展開する前に雷撃機はすり抜けてしまい、編隊の最後部でもたついていた一機が
尾翼を引っ掛けて木っ端微塵になっただけであった
「OH! 一機だけだと!!」
「着想は良い、だが相手がシュツーカや爆撃機相手だと思ったのが間違いだ。砲術長、ここは
膠着状態の地中海と違い、実質の最前線なのだ。生ぬるい大西洋や地中海の常識はここでは
通用せんぞ。」

139 :名無し三等兵:03/07/16 20:26 ID:???
>>138
伊吹秀明の作品からパクってきたなをぃ。

140 :名無し菊水:03/07/16 21:03 ID:???
>139
PAM!PAMPAM!!!

あ、本部。空気の読めない馬鹿を始末した。回収ヨロシク

ここは伊吹先生のオマージュです

141 :名無し三等兵:03/07/20 10:09 ID:+yrrp+tK
前スレはどこで読めるんですか。

142 :名無し三等兵:03/07/20 18:22 ID:???
最強を決めろ!!各国中型戦艦スレッド!!!
ttp://yasai.2ch.net/army/kako/1010/10100/1010069485.html
最強を決めろ!! 中型戦艦スレッド
ttp://hobby3.2ch.net/test/read.cgi/army/1027158379/l50
(DAT落ちで過去ログ倉庫編成待ち)

143 :名無し三等兵:03/07/22 00:07 ID:???
ポケット戦艦大和を希望

144 :わんにゃん@名無しさん:03/07/22 12:50 ID:???
ハッキリ言ってアメリカなどの多民族国家では黒人の方がアジア人よりもずっと立場は上だよ。
貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜いアジア人は黒人のストレス解消のいい的。
黒人は有名スポーツ選手、ミュージシャンを多数輩出してるし、アジア人はかなり彼らに見下されている。
(黒人は白人には頭があがらないため日系料理天などの日本人店員相手に威張り散らしてストレス解消する。
また、日本女はすぐヤラせてくれる肉便器としてとおっている。
「○ドルでどうだ?(俺を買え)」と逆売春を持ちかける黒人男性も多い。)
彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない日本人は滑稽。

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